2025年に観た映画(40) 「国宝」

№40
日付:2025/9/6
タイトル:国宝
監督:李相日
劇場名:TOHOシネマズ小田原 SCREEN5
パンフレット:あり(¥1,100)
評価:6
6/6に公開されて以来、著しい高評価と集客を維持し続けている本作をようやく観賞。3時間近いその上映時間がネックとなり、ついつい後回しにしていたのですが、公開からちょうど3ヶ月経っているこの日、TOHOシネマズ小田原では4回/日の上映で、早朝からお客の入りも悪くない。ちなみに109シネマズ湘南さんの初回はほぼ満席状態でした。
上方歌舞界の名跡が贔屓筋の宴で見初めたダイヤの原石。伝統芸能の世界を舞台に才能と血筋がしのぎを削りながら、波乱万丈の半生が描かれる本作は評判通りの観応え。腕に覚えがあるベテラン大工がこしらえたかのような劇場映画の醍醐味が詰まった、圧倒される3時間。
本作が醸し出すのは「昭和」の映画的肌触り。描かれている時代も勿論そうなのですが、作品そのものの骨格や質感、男と女それぞれの生き様、時間経過と場面転換、、、李相日監督とスタッフ、キャストが拘り抜いて築き上げたこの物語の世界観そのものから、昭和の時代の良質なるエッセンスが薫り立つ。
政治の世界ではNGでも梨園では常道として綿々と続く親から子への伝承作業。良し悪しは別にして、芸の世界での相伝は多くの日本人の理解を得ている気がします。数ある伝統芸能の中でも一際庶民の人気が高い梨園の世界を描く上で、今回重要な成功要因となったのがキャスティング。中でも梨園の内幕を晒すようなお話に、寺島しのぶさんという歌舞伎界ゆかりの名女優を配した事で、その迫真感が揺るぎないものとなった(パンフレットのインタビュー記事の中で寺島さんが「そこはフィクションと理解しつつ」と語っていらっしゃったのが実に興味深かった)。
吉沢亮/横浜流星だけでなく、若き日を演じた黒川想矢/越山敬達もとても良いです。現実にはあり得ない「たられば」の世界で描かれた、もう一つの梨園の光と影。その激しい奔流に人生ごとのみ込まれた喜久雄と俊介の役者魂に圧倒される3時間でした(ちょっと観疲れた)。
松竹さんとしては、東宝さんにしてやられた感あるのでは?「フラガール」以来の李相日作品ですが、あれ以降ずっとこんな感じで映画を作っているんですかね。見逃した過去作品を、気を引き締めて観賞してみたい気分になりました。


- イントロダクション
- ストーリー
- 人物相関図
- 吉沢亮インタビュー
- 横浜流星インタビュー
- 高畑充希インタビュー
- 寺島しのぶインタビュー
- 田中泯インタビュー
- 黒川想矢/越山敬達コメント
- キャスト・プロフィール
- 渡辺謙インタビュー
- 対談 李相日 × 中村鴈治郎
- 原作 吉田修一インタビュー
- 李相日インタビュー
- 奥寺佐渡子(脚本)インタビュー
- 原摩利彦(音楽)インタビュー
- ソフィアン・エル・ファニ(撮影)インタビュー
- 谷口裕和(振付・舞踊指導)インタビュー
- 種田陽平(美術監督)インタビュー
- 主題歌
- クレジット
