Discover us

私の好きな映画

静香
2023/06/12 14:10

冒険者たち~Les Aventuriers ~

『冒険者たち』~Les Aventuriers ~

 

この映画は1967年にイタリア・フランスで制作された映画です。

ロベール・アンリコ監督作のこの作品の主演は、日本でも大人気だった往年の二枚目スター「アラン・ドロン」と、元プロレスラーという経歴を持つ渋い「リノ・ヴァンチュラ」。そしてその二人の男と共に行動をする美しい女性ヒロインを「ジョアンナ・シムカス」が演じています。

☆ちなみにプライベートではジョアンナ・シムカスの夫は、初の黒人アカデミー賞受賞者でもある「シドニー・ポワチエ」なのです!

この映画を先日、映画好きの仲間の方と一緒に初めて鑑賞しました。

 

舞台はフランスのパリで、画期的な新型レーシングエンジンの開発にひとり取り組む中年の自動車技師ローラン(リノ・ヴァンチュラ)と、その友人で、若くハンサムなパイロットのマヌー(アラン・ドロン)。

そして、ある日ローランの工房に材料探しにやってきた駆け出しの前衛彫刻家レティシア(ジョアンナ・シムカス)。

それぞれの夢を持った三人は、その実現のために互いに支え合い、絆を深めていきます。

しかし彼らの前に厳しい現実が立ちはだかり、夢が潰えていきます。

例えばマヌーは騙されて飛行した結果パイロットライセンスを停止されたり、ローランはエンジンのテストドライブで爆発事故を起こしたり、レティシアは開いた個展を新聞で酷評されたりなど…

 

そんな失意の中、マヌーが「コンゴ動乱」の中で、1機の飛行機が財宝を持ったまま墜落し海に沈んだという話を聞きだし、3人はコンゴの海へ財宝探しに出かけます。

(※あらすじは一部Wikipediaより抜粋)

 

そして3人は財宝を見つけるのですが、その後、悲壮な結末へ向かっていくのです…

 

まずこの映画を初見で見た時、最初の数十分は何を目的に皆行動しているのかな?と中々ストーリーに入りきれませんでした。

ただ、昔のパリの「凱旋門」は変わらず美しく、フランスにある日本料理店で食事をするシーンは、今から約60年前のフランスでも日本料理や日本の映画などがあったのかと想いを馳せられました。

次第はストーリーが分かり出し引き込まれていき、感情を掴まれていきました。

 

この映画はイタリア・フランス映画で、ハリウッド映画とはまた違った良さが感じられます。

その一つは、流れる音楽がピアノの曲で全体的に「儚さ」と「哀愁」を漂わせています。

美しい旋律の中で、発音の美しい「フランス語」を皆が話しますが、柔らかみがあるように聞こえる「フランス語」で沢山セリフを言うのではなく、ある意味観客にも「察し」を促すかごとく、少なめのセリフと共にシーンは進んでいきます。

日本の映画に少し似ているなと感じます。

 

またこの映画の見どころは何と言っても、「美しい海」だと思います。

実際にコンゴで撮影したそうですが、海の美しさがこの世のものかと思うほど、映像からも伝わってきます。ものすごく聡明なブルーの海です。

その中でスキューバダイビングをしたり泳いだりしていますが、レティシアの来ている水色のビキニも映えて、本当に「楽園」にいる雰囲気が伝わってきます。

3人がコンゴの海でとても楽しそうに遊ぶシーンがあります。

 

実際のコンゴは当時動乱があった中で混沌としていたと思いますが、海の映像の美しさは今まで観た映画でもトップに入るほどでした。

 

映画では、「財宝を見つけたらどうする?」と聞かれたレティシアは、「海に浮かぶ家」を買いたいと言います。

財宝を見つけ意気揚々と帰る途中の船中でレティシアは悲劇的な最期を迎え、その夢はローランに継がれて行くのですが…

 

この映画は五感を刺激される映像や音楽が流れる中、とても刹那的であり悲壮感も感じられるシーンもありつつ

主人公たち3人皆が夢を見ることに迷いがなく、「生きる」エネルギーが沢山伝わってきます。

演じている役者の方も、戦前戦後の中で生きてきた人たちばかりだからか、人間としての重みと人間の背景(バック)からあふれ出す生命エネルギーを映画から感じました。

 

私はこの映画は何度か見ることをお勧めします。初見で見逃したところが2回目以降で見ると新たな発見があるかと思います。

 

また、この映画は男女3人組が巻き起こすストーリーですが、後世の映画(『明日に向って撃て!』 (1969年)や『無宿』 (1974年)など)にも影響を与えたと言われています。

 

イタリアやフランスの映画は、観た後に「観客それぞれの解釈で良いんだよ」と、委ねるところがある作品が多いように思います。この映画が製作された年ごろの時代背景も考慮する必要があり、若者が持っている未来への高揚感と夢を実現しようと奮闘する行動力、そして恋愛と現実の厳しさなど、夢とリアルが混在している作品であり、ある意味「リアリティ」も感じさせてくれます。

 

ラストシーンは胸に残りました…

 

この映画は鑑賞した各々が、多様に様々なことを感じるのではないかなと思います。

美しい映像を見るのも良し、情緒を感じるのも良し、様々なテーマ・見方等で、何度も味わい深く楽しめる映画だと思います。

 

レンタルはこちら

 

SNSで発信しています。

linkedin/instagram/Twitter

 

コメントする