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cine-ma
2025/06/22 15:34

2025年に観た映画(26) 「リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界」

実在する女性報道写真家リー・ミラーの半生を、本人とインタビュアーとの対談形式で描いた本作。
開始早々にインタビュアーと火花散る舌戦を繰り広げ、“手強い”女性である事を印象付ける。それをケイト・ウィンスレットが嬉々として演じているようで、そのままスクリーンに惹き込まれます。

リー自身の回想という形をとりながら、モデルから写真家に転身後、第2次大戦の従軍記者として戦場を巡る時代を中心に、実際に彼女が戦場で残した数々の写真がフィルムに収まる瞬間を再現してゆく。ただの報道写真の枠に収まらない、アイディアと創造性に溢れた写真の数々。

本作の実質的オーナー(製作総指揮、主演)でもあるケイト・ウィンスレットは、まるでリー・ミラー本人が憑依しているかのような迫力。自立した女性として生き抜く姿が印象的だった「タイタニック」のローズ役を思い起こしつつ、そんな女性像を地で行くような彼女のキャリアがそのまま帰結したかのような作品にも思えました。

インタビュー終わりに用意されたサプライズが実に見事。本作も最後に実在する映像と作品が登場し、20世紀を代表する女流写真家として再評価されることとなった経緯を知る事となります。目の当たりにしたばかりのケイト演じるリー・ミラーの生き様が実物とシンクロしてしまうのでした。

№26
日付:2025/6/19
タイトル:リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界 | LEE
監督:Ellen Kuras
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン3
パンフレット:あり(¥1,000)
評価:6

(c)BROUHAHA LEE LIMITED 2023
(c)BROUHAHA LEE LIMITED 2023
(c)BROUHAHA LEE LIMITED 2023
(c)BROUHAHA LEE LIMITED 2023

>> 写真家のリー・ミラーが世間で名声を得たのはいつ頃なのでしょうか?(Q&A for chatGPT)
写真家リー・ミラー(Lee Miller)が広く世間的な名声を得たのは、彼女の死後、1970年代以降のことです。
<生前の評価(1920〜1950年代)>
リー・ミラーは1920〜30年代にかけてモデルとして活躍し、マン・レイのミューズ兼パートナー、そして写真家としても活動を始めました。しかし、当時の芸術界では「マン・レイの助手」や「美しいモデル」という印象が強く、独立した写真家としての評価は限定的でした。
第二次世界大戦中には戦争写真家・従軍特派員として、英Vogueのために報道写真を撮影。バイエルンのダッハウ強制収容所やヒトラーのミュンヘンの邸宅で撮られた写真(特にヒトラーのバスルームで入浴する写真)は、当時も注目はされたものの、やはり男性写真家に比べて評価されることは少なかったのが現実です。
<再評価と名声(1970年代以降)>
ファーレイズ・ハウスで亡くなった(1977年)後、息子のアンソニー・ペンローズが母の遺品整理をしていた際に、数千点の写真、ネガ、日記、文書などが自宅の屋根裏部屋で発見されました。
これによりリー・ミラーの業績が再評価され、以下のような動きが起こります:
・1980年代〜:個展・回顧展が開催され始める
・1992年:息子アンソニーが伝記『The Lives of Lee Miller』を出版
・2000年代〜現在:彼女の写真展やドキュメンタリー、映画化企画などが進み、20世紀の最も重要な女性写真家の一人としての地位が確立される

パンフレット(¥1,000)
  • イントロダクション
  • ストーリー
  • キャラクター/キャスト
  • リー・ミラーについて
  • インタビュー ケイト・ウィンスレット
  • リー・ミラーの新たな伝説 飯沢耕太郎(写真評論家)
  • 信じる道を進み、見たものを世界に伝えようとしていたリー 篠儀直子(翻訳者、映画評論家)
  • クルー
  • リーの生き方に共鳴したケイト・ウィンスレットの勇気 町山智浩(映画評論家)
  • プロダクション・ノート

 

 

 

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