即答!オススメ音楽映画
みなさん、こんにちは!じょ〜い小川です。
お題が出たら、なる早でやる男。
それが、じょ〜い小川です。
さて、今回のお題は
私のオススメ音楽映画。
いやー、笑いが止まらなかった。
なぜなら得意ジャンルの一つだから。
元々、名作とする条件の一つとして、ボクは音楽が素晴らしいことを項目の一つにしている。中には音楽がそれほどでなくても傑作というのはいくらでもあるけど、逆に音楽が決め手となる映画も多々ある。しかも、今回はこうした映画の作中で音楽がいい映画ではなく「音楽映画」という指定があるので、ミュージカル映画、あるいは音楽が主体なる映画を10本選びました……
とやろうかなとしましたが、毎回毎回ベストテンやベスト3、ベスト5を発表するのもワンパターンなので、今回は
『ラ・ラ・ランド』
一本に絞る。
まずは公開当時のレビューから。ちなみに、以下のレビューを書いた時点で既に2回試写を見てから書いた。
最初は2016年12月6日の午後に汐留の会場での完成披露試写の2回目の回。初見、冒頭の「Another day of sun」からあまりの素晴らしさに涙腺が崩壊し、続くエマ・ストーンが演じるミア・ドーラン&ルームメイトらによる「Someone in the Crowd」、ミアとセバスチャンが出会うきっかけになる曲でその後も劇中で何度もかかる「Mia & Sebastian's Theme」、さらにはマジックアワーの中でミアとセバスチャンが歌って踊る「A Lovely Night」など、とにかく名曲&名シーンの連続で、おまけにラストのアナザーストーリーパートの「Epilogue」と、完全KO。
翌年1月中にもギャガの試写室での試写でも初見よりかは感涙を抑えられて書いたのがこのレビュー。
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数々の映画賞や映画祭での実績、ゴールデングローブ賞の結果やアカデミー賞における最多ノミネートなど、それに『セッション』のデイミアン・チャゼルの新作とあって、日本公開前からの「言葉(タイトル)の意味はわからんがとにかく凄い自信」が超絶にムンムンの『ラ・ラ・ランド』。こちとら観る側も古今東西のミュージカル映画が好きで、初回の試写に開場数十分前から待っての開場入りという、年間でも最大級の期待値で挑んだら……
さらにそれを遥かに上回る至極の128分だった!!!!
まず、冒頭の「Another day of sun」から怒濤のミュージカルシーンで幕を開ける。
曲、歌、ダンス、ファッション、色彩、演出、カメラワーク、全てが完璧!
踊りそのものは『ウエストサイド物語』とジャック・ドゥミの『ロシュフォールの恋人たち』を掛け合わせたような感じのオリジナルで、渋滞の車の上で歌とダンスが次々とスピーディーに切り替わる。踊り歌う人々の弾ける表情が神々しく、最高のオープニングシーンである。
ストーリーの根幹は強気な女優の卵とジャズに拘りが強いピアニストのラブストーリー。このジャズに拘りが強いことこそ『セッション』のデイミアン・チャゼル監督の味であり、この映画独特の味にもなっている。やっているミュージカルがクラシカルなハリウッドのミュージカルの古典とフレンチ・ミュージカルの掛け合わせなら、音楽そのものはミュージカル映画の音楽とジャズの融合である。
その最大の表れがセバスチャンがピアノで奏でるリフレイン。単純なメロディを何度も使うやり方は『シェルブールの雨傘』を彷彿する。その映画を代表するメロディが頭に残り、尚且つ口ずさみやすい。こうした映画音楽のリフレインこそ、近年なかなか見られない名画の証である。
さらにミュージカル映画のオマージュばかりだけではなく、『理由なき反抗』や『サンセット大通り』から『ブギー・ナイツ』や『マジック・イン・ムーンライト』など古典東西のロサンゼルスを舞台にした映画のエッセンスがあり、映画ファンなら思いは一頻り。また、要所のシーンがマジックアワーや照明の使い方の上手さでワンカット、ワンカットが映像美で満ち溢れている。
春夏秋冬(冬春夏秋冬ではあるが)でストーリーにも波があり、単に夢の世界ばかりだけではなく、現実をも描いている。辛い現実があるからこその夢の世界。これが『ラ・ラ・ランド』の本質と見ている。冒頭の渋滞のシーンしかり、ラストのしかけしかり、全てはそこにある。だからこそ、ミュージカルシーンの演出が活きる。野郎の視点で見てもライアン・コズリングが演じるセズの音楽での成功とハリウッド女優(の卵)をゲットする野心に満ちた作品で、そのロマンとバランスが難しい現実を痛切に感じ取れる。
まさしく、これまでのミュージカル映画の集大成であり、映画史に残り、今後も語り継がれる名画である。ミュージカル演出が苦手な方は無理をすることはないが、ミュージカル映画が好きな方ならもちろん、ジャズやミュージカル以外の音楽が好きな方もハマる可能性が高い。アカデミーの大本命、いや、2017年の大本命、いやいや、2010年代の代表作をじっくりと堪能頂きたい!
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補足
『ラ・ラ・ランド』における試写直後の自分と近しい映画評論家の声は決して芳しくなかったが、それはなんとなくは理解していた。『ラ・ラ・ランド』におけるライアン・ゴズリングやエマ・ストーンを中心にした歌(曲)とダンスはどれも飛び抜けたものとは言い難い。
が、この曲とダンスに関してはデイミアン・チャゼル監督の処女作『Guy and Madeline on a Park Bench』(日本未公開:ボクは何度かネットで見てます)において既に凄まじいタップダンスと「Cincinnati」や「Love in the fall」、「Boy in the park」といった完成度が高い曲を披露しているので、『ラ・ラ・ランド』では曲やダンス以上に映画としての見せ方に重きを置いた、と見ている。
ちなみに、この「Boy in the park」は『ラ・ラ・ランド』でも後半で数秒のシーンで使われている。
冒頭の「Another day of sun」の直前、映画スタートから12秒後にかかるチャイコフスキー作の序曲『1812年』の終盤の盛り上がるパートが突如ラジオから流れることや、ミアとセバスチャンがdisっていたボサノバの曲調という皮肉や、メインキャストがこの曲では歌やダンスにそれほど関わらないなど、「Another day of sun」だけでも色々と語れることがある。作中でも1、2を争う曲をいきなり最初に使う構成も大胆だし、次の「Someone in the Crowd」やリフレインとなる「Mia & Sebastian's Theme」などもちゃんとインパクトを残している。
そして7年経った今でもハッキリと