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私の好きな映画

Stella
2024/02/28 11:34

「エッフェル塔~創造者の愛~(Eiffel) 」(2021)

はじめに

 カルチャースクールの「フランス映画と音楽のサロン」の新規講座(*注1)を担当することになり、新旧の作品ということで、「エッフェル塔~創造者の愛~(Eiffel) 」(2021)と「愛と哀しみのボレロ(Les uns et les autres」(1981) を取り上げて、初回の1月に音楽と合わせて解説した。正月らしく、少し豪華な作品を選んだつもり。

 

「エッフェル塔~創造者の愛~(Eiffel) 」(2021)

 「真夜中のピアニスト」(2005)のロマン・デュリスがギュスターヴ・エッフェルで主演した作品。

決して伝記映画ではなく、“史実をもとに自由に作った物語”とされており、技術者のギュスターヴ・エッフェルに禁断の愛となる恋人がいたというシナリオは、かなりデフォルメもよいところ。従い、作品の評価の賛否が分かれるところ。

 共演はエマ・マッキー、ピエール・ドゥラドンシャン。監督は本作が長編3作目のマルタン・ブルブロン。画像はパンフレットでご紹介するが、こちらもコンパクトなB5サイズ。

 

パンフレットを筆者が撮影
パンフレットを筆者が撮影

ギュスターヴ・エッフェル(1832年-1923年)

 アメリカの自由の女神像の製作にも携わり、建築家として名声を獲得していた。1889年に開催される“パリ万国博覧会”のシンボルとなるモニュメントも手掛けてほしいと周囲から期待される。最初は興味を示さず、また氏は役に立つものを建設したいという意思も強かった。エッフェルが提案したモニュメントは、すべて鉄でできた高さ300mの塔という前代未聞の建造物だった。

 エッフェルの功績については、オルセー美術館のFonds d’Eiffelというエッフェル関係の写真や資料が納められた寄贈資料室で閲覧できるとのこと。

 

アレクサンドル・デスプラ(1961年-)

 音楽を担当したアレクサンドル・デスプラはパリ出身のフランスの映画音楽作曲家。主にジャック・オーディアールやウェス・アンダーソンとのタッグで知られ、フランス映画のみでなくメジャーなアメリカ映画の多くの主要作品を手掛けている。2005年に『真夜中のピアニスト』でベルリン国際映画祭銀熊賞とセザール賞を受賞している。 

 本作の楽曲のうち、エッフェルのワルツをご紹介する。(何度も聴いていたので、耳になじむ曲)

また氏は、作曲家としてのみならず、指揮者等の活動も行っており、川端康成の短編「無言」が原作のオペラ『サイレンス』を発表している。(2020年1月に神奈川県立音楽堂で日本初演された。) 

この映画や音楽への感想

 私のファンでもあるロマン・デュリスは、暗い、明るい、ダイナミックな役を演じきれる役者で、型にはまらないところが魅力で、過去のベルモンドの様な位置づけと勝手に思っている。2年前頃にこの作品のことを知っていたので、昨年3月に劇場で鑑賞した。

 過去にはフランス映画といえば、ジェラール・ドパルデューの一人勝ちだったが、ロマン・デュリスが歳を重ね、いろいろとチャレンジすることを楽しみにしている。

 本作でいえば、エッフェル塔の実物大の土台を撮影セットにしたというのは、臨場感や迫力を与えるものである。たしかに現場監督としての彼の位置づけが強調されていて効果的だった。

 音楽でいえば、エンニオ・モリコーネやジョン・ウイリアムズ等は例外だが、映画音楽(現代音楽等)が目的で鑑賞する対象の音楽家として、巨匠とも呼ばれるアレクサンドル・デスプラが期待の星であることは間違えない。

 

*注1:

 月1回の継続講座です。4月以降も継続予定です。(講師はStellaこと伊藤です。)

フランス映画と音楽のサロン | 目黒の駅チカ500講座の目黒学園カルチャースクール (megurogakuen.co.jp)

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