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飛べない魔女
2024/10/18 12:55

親ガチャに外れた「あんのこと」を考えてみよう

=これは実話です=

🎦あんのこと🎦

(2023年 日本 113分)

監督:入江悠 

出演:河合優実 | 佐藤二朗 | 稲垣吾郎


(c)2023『あんのこと』製作委員会

親ガチャに外れてしまった杏親は選べない。でも子供を産むことは親が選べることなのだから選択は出来たはず。育てられないなら産むべきではないと思う。子供を自分の所有物だから子供に何をしてもいいと思っている毒親のもとに生まれてしまった子は、あまりにも不幸すぎる。こんな酷い親が世の中にいるのか!?信じられないが本当にいたのだから。だってこれは2020年に実際に起きた実話を基にしているのだから。

市子】や【52ヘルツのクジラたち】でもかなりの毒親が登場していたけど、この母親の毒気ぶりは相当なものだ。我が子を愛せない親が多すぎる!いったいこの世はどうなっているのだ!?

あらすじ(allchinemaより)

「SR サイタマノラッパー」「22年目の告白-私が殺人犯です-」の入江悠監督が、新聞の小さな記事をモチーフに、実在した一人の少女の壮絶な人生を映画化した人間ドラマ。主演は「由宇子の天秤」、TV「不適切にもほどがある!」の河合優実、共演に佐藤二朗、稲垣吾郎。
 21歳の杏は、幼いころから母親に虐待され、10代半ばから売春をさせられていた。現在は売春に加え覚せい剤にも手を染めていた。ある日、警察に捕まった彼女は、刑事の多々羅と巡り合い、更生のための道筋を示してもらう。初めて信用できる大人に出会い、多々羅に心を開き始める杏。多々羅の友人で週刊誌記者の桐野も、そんな杏のことを気にかけていくのだったが…。

(c)2023『あんのこと』製作委員会

杏の母親は、杏のことを「ママ」と呼ぶ。足の悪い祖母の面倒を見ながら、母の言いなりで体を売らされていた杏。自分だってやってるんだからあんたもやるべきだと、12歳のときから母親から売春をさせられていたというから驚きだ。自分の言うことをきかなければ殴る蹴るの虐待をする母親。家の中はゴミだらけで足の踏み場もない。こんな愛情の欠片もない、だらしのない親がこの世にいるのかと愕然とした。杏の人生の転落は100%親のせい。

(c)2023『あんのこと』製作委員会

客とのトラブルから多々羅刑事に補導された杏。ザ・昭和の刑事という感じの多々羅が必至で杏に手を差し伸べ、どん底の生活から這い上がらせようとした事には、何の下心や裏心は無かったと信じたい。そのくらい思いやりと優しさに溢れる刑事だった。だからこそ杏も毒母親と決別して立ち直ろうと決心したのだ。多々羅刑事がおもいきり背中を押してくれたのだ。

(c)2023『あんのこと』製作委員会
(c)2023『あんのこと』製作委員会

歩けない祖母を介護してあげたいから介護士になりたい、という夢を抱いて少しづつ前へ進む杏。中学も卒業していないのに、理解ある介護施設所長にも助けられて、働けることになる。本当に、一生懸命という言葉が相応しいほど、自分の出来ることを必死でする彼女がとても愛おしくなる。夜間中学にも通い始めて、勉強し直すことにも意欲的だった杏。

(c)2023『あんのこと』製作委員会

それなのに時代は彼女に容赦がなかった!

そう、新型コロナウィルスのパンデミックだ。介護施設は感染拡大を防ぐためスタッフの縮小を迫られ、否応なしに杏のような臨時スタッフに休みを取らせなければならなくなり、事実上仕事を失う。おまけに夜間中学校は閉鎖されてしまう。あの時は、誰もが1か月程度で騒ぎが収まるのだろうと思っていたから、杏も少しの間我慢すればいいくらいに思っていた事だろう。まさか3年も続くとは誰が想像しただろうか!?

(c)2023『あんのこと』製作委員会

おまけに心の拠り所だった多々羅刑事にもある問題が起きるのだ。そんな折、同じアパート(DVなどで逃げてきた女性専用のシェルター用アパート)の女性から、突然子供を暫く預かってと一方的に置いていかれ戸惑う杏。オムツもとれていない幼子だ。それでも、やっぱり彼女はここでも一生懸命なのだ。必死で子供の面倒を見る。それは自分が1mmも親から与えられることがなかった愛情を、幼子に注いであげたいのだという思いがあったように見えた。

そうこうしているうちに、居場所が母親に見つかってしまい、彼女の束の間の幸せな時は終演を迎えることになる。絶望からか?自責の念からか?杏はある決断をするのだ。

(c)2023『あんのこと』製作委員会
(c)2023『あんのこと』製作委員会

杏の母親に言いたい!

必死に生きようとした杏の人生を壊す権利はあんたには無いのだ!

母親であることを放棄したあんたには何の罰も与えられなかったのだろうか?だとしたらあまりにも理不尽で不公平だ。親なら自分の子供に何をしてもいいのだという考え方がクソなんだ!子供は別の人格であり、別の人間なんだよ。

杏に起こってしまったような悲劇が起こらないように、社会は何かできないのだろうか?

私たちに出来ることは何なのだろう?とこの映画を観て深く考えさせられた。こんな風に傷ついて路頭に迷っている子がいるのなら、我が子ではなくとも喜んで手を差し伸べてあげたいと思った。

杏を演じた河合優実 さんの演技が、実に自然で違和感がなく、この娘はうまいな、と思った。

(c)2023『あんのこと』製作委員会

多くの人にこの作品を見て頂いて、「あんのこと」を考えてみて欲しいと思いました。

(現在Amazon prime videoで配信中です)


 

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2 件の返信 (新着順)
Black Cherry
2024/10/18 17:53

この間わたしもみました、あまりにも酷い母親(あんをママと呼ぶこともスゴくイヤでした)に強いられた地獄のような人生だと感じ…みていてとてもつらかったです💦
世の中にこうした子が存在する、と考えると、やりきれませんね…


飛べない魔女
2024/10/19 12:42

Black Cherryさん、コメント有難うございます。
何故杏のことをママと呼ぶのか、それも不快でしたね。
辛い映画でしたが、このように虐げられて育つ子供がいるのだとうことを
知るべきことは必要だと思いました。

豆くん
2024/10/18 13:09

邦画はあまりみないですが、これは観たい!と思いました。


飛べない魔女
2024/10/18 16:53

豆くんさん、コメント有り難うございます。是非観ていただきたい作品です!考えさせられてしまう辛い話ですが、観て良かったと思える作品かと思います。