2次元作品のリアルな実写化はこの作品達から始まった(のか?)
人気漫画やアニメが実写化されたり舞台化されるのが当たり前となった昨今ですが、改めて呻らされるのがその「再現力」。「キングダム」で河了貂役の橋本環奈ちゃんがキャラそのままの着ぐるみで何の違和感もないって、実はとってもスゴイ事なのでは!と思います(笑)。
私が記憶する限りにおいて、2次元のエッセンスと世界観を実写版にそのまま持ち込めた作品はというと、2004年に公開されたこの作品あたりが最初ではないでしょうか。
永井豪先生が生み出した数々の人気キャラクターの中で、女性ヒロインの代表格といえばやっぱりキューティーハニー。原作は少年チャンピオンに連載されていて、私はこの漫画雑誌を一度も購読した時期がないのでアニメが先でした。
当時のNET(現テレ朝)は土曜の夜8時からキカイダー~キカイダー01、8時半からデビルマン~ミクロイドS~キューティハニーという布陣でTBSのお化け番組「全員集合!」に挑んでいて、我が家はこっちを観ていた。視聴率的には歯が立たなかったのでしょうが、どちらの作品も特撮とアニメの世界ではある種の金字塔的作品として残っています。
本作で庵野さんが実写版として蘇らせたのはまさにアニメ版の世界で、キャラクター設定や主題歌に挿入歌もオリジナルを再利用して、倖田來未という歌姫を誕生させる副次効果も生み出した。オープニングのアニメも素敵。佐藤江梨子ちゃん以上にハニーに相応しい女優さんはいないと今観返しても思えてしまいます。
ただ残念ながら作品の出来としては、ハニーのお着換え一つ取ってみても少々学芸会じみていた。「チャーリーズ・エンジェル」なんかと比べても、エンジェル達の華麗な七変化に比べ、ハニーのそれはおままごとチック。ハニーがパンサークローの一味と激突するシーンも、あちらはMcG監督が特撮を駆使して見事なアクション劇に仕立て上げたのに対して、かなり見劣りしてしまう。
庵野監督の実写版における実力は、日本映画として留飲を下げた「シン・ゴジラ」の登場まで待つ事になるのでした。
観賞日:2004/6/5
タイトル:キューティーハニー
監督・共同脚本:庵野秀明
劇場名:ワーナー・マイカル・シネマズみなとみらい劇場6(現イオンシネマみなとみらい)
パンフレット:あり(¥700)
そしてもう1作は2009年に公開されたこちらの作品。
よくぞこれだけ原作キャラを生かしきるキャスティングに成功したものだと、公開当時は賛辞を送りたくなりました。その中でも出色なのがボヤッキー@生瀬勝久。この作品の立役者であり、映画オリジナルのキャラで登場する阿部サダヲ共々、「芸達者な役者は映画を助く」を立証しています。
ドロンジョ@深キョンに関しては、このキャラに可愛いセックスシンボル的美女を配した点で成功している一方、良くも悪くも学芸会的なノリになってしまった。
そしてこの作品の端々で登場する卑猥でグロいシーンやキャラの数々に関しては、三池崇史監督らしいとはいえ、親子で楽しめる本作品にこんなに盛り込む必要性があったのか、そして製作サイドが何故許容したのか、不思議でなりませんでした。
観賞日:2009/3/20
タイトル:ヤッターマン
監督:三池崇史
劇場名:シネプレックス平塚 シネマ7
パンフレット:あり(¥800)
これらの作品以降、人気漫画を原作とする“実写版”が続々登場し、邦画界を席巻していくのでした。