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私の好きな映画

じょ〜い小川
2025/02/06 12:29

コロナ禍&3.11ビヨンドと岩手・三陸の魅力たっぷり!『サンセット・サンライズ』

■サンセット・サンライズ

(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会

《作品データ》

楡周平原作小説を、菅田将暉主演、岸善幸監督、宮藤官九郎脚本で映画化した田舎移住を題材にしたヒューマンドラマ&コメディ映画!南三陸町の町役場に勤める関野百香は役場の空き家物件問題を解決する係の担当を任され、自らある理由で空き家にしていた4LDKの物件をネットにて6万円で売りに出したら早速買い手が現れた。すると、明くる日、百香が物件の掃除に訪れると、買い手である晋作が東京から早速引っ越してきていた。新型コロナウイルスのパンデミックになったばかりの時とあって、百香は晋作に二週間の自宅待機を命じるが、晋作はこっそり抜け出して海釣りを楽しむ移住ライフの毎日を送る。主人公・晋作役を菅田将暉が演じ、他井上真央、中村雅俊、三宅健、池脇千鶴、竹原ピストル、山本浩司、好井まさお、小日向文世、藤間爽子、茅島みずき、白川和子、ビートきよし、半海一晃、宮崎吐夢、少路勇介、松尾貴史が出演。

・1月17日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー

・配給:ワーナー・ブラザース映画

・上映時間:139分

【スタッフ】

監督:岸善幸/脚本:宮藤官九郎

【キャスト】

菅田将暉、井上真央、中村雅俊、三宅健、池脇千鶴、竹原ピストル、山本浩司、好井まさお、小日向文世、藤間爽子、茅島みずき、白川和子、ビートきよし、半海一晃、宮崎吐夢、少路勇介、松尾貴史

公式HP:https://wwws.warnerbros.co.jp/sunsetsunrise/


《『サンセット・サンライズ』レビュー》

飄々とした若者を演じさせたらピカ一の菅田将暉主演で宮藤官九郎脚本とあるので見てみた『サンセット・サンライズ』。最近では田舎移住のスリラー映画が多く見られるが、本作は田舎、それも東北の海辺の町の移住のヒューマンドラマ&コメディで、単に田舎移住というだけでなく、

コロナ禍と3.11の後の東北、リモートワーク、田舎の過疎化問題など様々な社会問題を全部盛りした内容ながら、まとまりが良く、良質な社会派ヒューマンドラマ&コメディ作品に仕上がっている!

(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会

東京から釣り好きの呑気な青年が宮城県北東部の三陸海岸にある南三陸町で移住ライフをする話だが、2020年の2月以降というコロナ禍になったばかりの頃にしたことで、コロナ禍初期の未知のパンデミックの恐怖に対する過剰なコロナ禍対策をしていた5年前を描いている。が、主人公の晋作はそんなのお構いなしに、毎日こっそり抜け出しながら三陸海岸で釣りを満喫し、夜は釣った魚で飲み食いしながら所属する会社の同僚とリモート飲み会を。方や井上真央が演じる百香は周囲に東京から来た男性に空き物件を貸したことを知られたくないので、晋作の存在を隠しながら晋作と距離を置いて接する。

(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会

中盤ぐらいまではコロナ禍の様子を映し、中盤以降からは百香が4LDKの物件を空き家にしていた理由からのドラマを展開。こちらは3.11を絡ませたもので、南三陸町の町の人々の復興のドラマにもなっている。加えて、都会から田舎移住あるあるの移住者がなかなか引っ越し先に馴染みにくい移住者のドラマもしっかりしていて、白川和子が演じる隣に住む年寄りや竹脇ピストルが演じる近所の居酒屋のマスターなど、田舎町の住人らしい人々とのヒューマンドラマ&コメディが楽しめる。

(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会

コロナ禍と田舎町の人々の3.11のトラウマ、都会移住者のドラマにリモートワーク&リモート飲み会をする若者など時代の出来事と東北の町、それも岩手県三陸海岸沿いにある町を舞台としたドラマの組み合わせは宮藤官九郎がかつて脚本を手掛けた「あまちゃん」を彷彿させ、本作は海女が出て来ない第二「あまちゃん」を139分に凝縮し、尚且つコロナ禍という設定でアップデートしている。これに飄々とした役が多い菅田将暉を主演にしたことで、ばっちりとコメディになっている。

(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会

あと白川和子と竹脇ピストルは分かったが、中村雅俊はエンドロールのクレジットを見るまで百香の父親役というのが分からなかったぐらいだが、実は宮城県牡鹿郡女川町出身なので、

地元民っぽさが一番出ていた。

(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会

原作者の楡周平、岸善幸監督、脚本の宮藤官九郎らも東北出身なので、南三陸町の美しさ、素晴らしさだけでなく、田舎町の人々の都会移住者との距離感や数少なくいる温かな人々のやりとりなど、東北の3.11とコロナ禍のドラマを上手くまとめている。宮藤官九郎脚本作品としても「あまちゃん」や「不適切にもほどがある!」といったテレビドラマに匹敵する傑作で、

クドカンの映画の脚本作品としてはひょっとしたらベストかも。

  

(c)楡周平/講談社 (c)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
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