フランス映画

Stella
2025/07/09 18:04

「マダム・バティスト」70年代イザベル・ユペールの表情が、クラシカルで素敵!

◆はじめに

 昨晩、YouTubeでたまたま映画放映があり久しぶりに字幕なしで鑑賞した。出所はユニフランスのLCPというメディア。原作がモーパッサンで、主演がイザベル・ユペールというのも気になるところ。 

 

◆モーパッサン(1850-1893)

 フランスの自然主義の小説家、劇作家、詩人。「女の一生」などの長編6篇、「脂肪の塊」などの短篇約260篇を遺した。短編の中でも、翻訳されている、「マダム・バティスト(Madame Baptiste)」という小説が原作となった映画「マダム・バティスト(Madame Baptiste)」(1974年)を鑑賞した。

  同じ自然主義のエミール・ゾラとは異なり、厭世的な傾向が強く、人間の愚かさ、みじめさを描いた短編に秀作が多い。

 ★モーパッサン出身のエトルタの城で撮影されているのも興味深い。

 ◆「マダム・バティスト」の概要

 ヒロイン(ブランシュ)はこの町で裕福なブルジョワの子女。しかし11歳の時バチィストという名の下男によって暴行されてしまう。下男は無期懲役となった。しかし少女にはレイプ被害者という「汚名」が残った。成長する間ずっと、少女はこの汚名に苦しんできた。友達はいない。大きくなっても彼女を取り巻く環境は変わらず悪化するばかり。目を伏せて通りを歩く彼女の背中には、自分でも説明のつかない恥という概念が常に重たくのしかかっていた。そして口汚いゴロツキは彼女を「マダム・バチィスト」と呼ぶ。

 しかし事態は好転し、新しく赴任した副知事の秘書が彼女にひとめぼれする。全ての事情を聞かされた秘書の男は動じることなく、結婚を申しこみ二人は一緒になる。初めて訪れた普通の生活。人々は事件のことを忘れて行く。

 ある日の守護聖人のお祭りで、沢山の人が広場に集まっていた。各村の吹奏楽隊が参加するコンクールがあり、知事による結果発表のあとメダルを授けるのは秘書の夫の役目だった。彼女も妻としてその場に同席していた。二等になった楽隊の指揮者は、その結果に腹を立て、夫がメダルを授けた瞬間、指揮者は怒りに任せメダルを夫の顔に投げつけ、こう言い放った。「お前さんにくれてやるよ、バチィストのために取っておけ!・・」その途端、会場に笑いの渦が巻き起こり、「マダム・バチィスト」に眼が向けられた。

 人々の好奇の目にさらされ、見世物になる妻。しかし騒ぎが収まった頃にはもう心が壊れてしまった妻は、夫が制止する間もなく川の中に身を投げ、自ら命を絶つ。

 ◆イザベル・ユペールの魅力(70年代)

 「バルスーズ(Les Valseuses)」(1974)でも端役で出演しているが、「レースを編む女(La Dentellière )」(1977)は、以前見逃がしたので是非観たいと思っている。70年代は、彼女が頭角を現す時期かと思うが、そういう時期での「マダム・バティスト」への出演は興味深い。このころの容姿は、まだ成熟してなく、生真面目に見えるお嬢さんの様子が描かれ、丸顔で、どころなくクラシカルな衣装が似合う。フローベルの文学作品原作の「ボヴァリー夫人(Madame Bovary)」(1991)(クロード・シャブロル監督)の方は、退廃的で凄みもあるので、印象が少し異なる。

レースを編む女

 ◆音楽はシューベルトで!

 また使用された音楽は、シューベルトで、弦楽四重奏曲(死と乙女)と、八重奏曲が使用されているのも、作品のマイナーな印象にあっている。


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1 件の返信 (新着順)
Black Cherry
2025/07/18 15:04

非常に悲しいストーリーですね💦
イザベル・ユペールは若くて可愛いくて驚きです


Stella
2025/07/18 19:38

今のえぐい役柄とは違って、まっすくで硬い感じもまたいいですね。