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趣味は洋画
2023/11/24 13:49

懐かしき1950年代の映画「アメリカ編」

1960年代、1970年代と振り返ってきて、今回は1950年代の名作を懐古してみたい。

当時の作品をリアルタイムで観ていたわけではないが、深い感動に浸れる名画が多い。

 

ローマの休日」(1953年、ウィリアム・ワイラー監督)

オードリー・ヘプバーンの銀幕妖精伝説となった記念すべき作品で、自由を夢見てローマの街に飛び出した女王アンと、通りがかりの新聞記者との出会いと束の間の恋を描いたラヴ・ロマンス。

ローマへ親善旅行中の某国のアン王女(オードリー・ヘプバーン)が、ある日こっそりと大使館を抜け出した。偶然彼女を世話したアメリカの新聞記者ジョー・ブラドリー(グレゴリー・ペック)は、特ダネを狙って彼女をローマ見物に連れ出す。互いに身分を隠した1日の休日を過ごすうちに、2人の間にはほのかな愛情が芽生えていくが...

 

何と言っても気品をそなえたオードリーは、従来のハリウッド女優にない魅力を持ち、スリムな体形と中世的な美しさと優雅さでファンを魅了した。彼女は映画初主演でアカデミー主演女優賞を受賞。

 

 

雨に唄えば」(1952年、ジーン・ケリー及びスタンリー・ドーネン監督)

トーキー転換期のハリウッドを舞台にした、MGMミュージカルの最高傑作。

この映画の最も見せ場とするシーンは、ダイナミックな踊りを得意とするジーン・ケリーが、ドシャ降りの雨の中「雨に唄えば」を唄い踊る場面。

更に、集団で踊るシーンの衣装と美術の華やかな色彩が実に見事で、赤、黄、青、緑、紫など、目が眩むばかりの原色が観る者を惹きつける。

 

デビー・レイノルズシド・チャリシーといった個性派女優の出演も見逃せない。


 

十二人の怒れる男」(1957年、シドニー・ルメット監督)

<法廷映画の傑作に迫る その①>で取り上げた作品で、映画史上に大きく名を残す不朽の名作。
殺人容疑で起訴された少年の罪の有無をめぐって、12人の陪審員が白熱の議論を重ねる。

審理が終わった後、陪審員8番(ヘンリー・フォンダ)が、陪審員3番(リー・J・コッブ)に対し、そっと上着をかけてあげるシーンには眼がしらが熱くなる。

そしてラストシーンでは、それまでの密室から一転、裁判所の外に出た12人は、互いの名前も知らず、夕立のやんだ街の中へと散っていく...この解放感が心地よい。

 

12人の性格を際立たせたシドニー・ルメットの演出力と、ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、マーチン・バルサムロバート・ウェバー等、実力派俳優たちの演技が見事だ。

 

 

イヴの総て」(1950年、ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督)

演劇界の内幕をシニカルに描く人間ドラマの傑作。

アメリカ演劇界最高の栄誉とされる賞が、新進女優のイヴ(アン・バクスター)に授与された。会場が拍手に包まれる中、彼女の真の姿を知る者たちは複雑な心境だ。8カ月前、大女優マーゴ(ベティ・デイヴィス)が出演する劇場の楽屋口に通いつめていた田舎娘...それがイヴだったのだ。

 

当時、全盛期だったジョセフ・L・マンキーウィッツ監督は、回想を巧みに用いたストーリー展開で、大女優が新進女優の野心に追われていく様を強烈に描いている。

 

演劇界を知り尽くした策略の演劇批評家を巧みに演じたジョージ・サンダースが、アカデミー助演男優賞を受賞。又、洗練された都会的センスで知られる衣装デザイナーのイーディス・ヘッドが、同じくアカデミー衣装デザイン賞を受賞している。

 

 

シェーン」(1953年、ジョージ・スティーヴンス監督)

映画史上かつてない感動を呼んだ不滅の西部劇の名作。

1890年初夏のワイオミングが舞台。農民と牧畜業者が対立する開拓地に流れ着いたガンマン、シェーン(アラン・ラッド)の活躍と、移住民ジョー・スターレット(ヴァン・ヘフリン)一家との交流が描かれる。

 

ジョーの妻を演じたジーン・アーサーの清楚な美しさ、一人息子ジョーイを演じたブランドン・デ・ワイルデの可愛さが忘れ難い。特にラストシーンで、シェーンの後姿に呼びかけるジョーイの叫び声が切ない。 ‘シェーン! カムバック! シェーン!’

 

少ない登場シーンながら、強烈なインパクトを残して消えていく、ジャック・パランス演じる黒ずくめのガンマンもいい。

 

そして、名カメラマン、ロイヤル・グリッグスが捉えたワイオミングの大自然は、息をのむほど美しい。

 

 

裏窓」(1954年、アルフレッド・ヒッチコック監督)

ヒッチコック作品のなかでも上位にランクされる傑作ミステリー。


映画のクライマックスまで、カメラの視点は一切主人公の部屋から出ない。そのことによって、観ている側は主人公に感情移入させられ、気づかぬうちに ‘覗き’ の共犯者に仕立て上げられてしまう。

 

ニューヨークの下町、グリニッチヴィレッジのアパートに住む報道写真家ジェフ(ジェームズ・スチュワート)は、取材中の事故で左足を骨折し、退屈な車椅子の生活を送っていた。ある日、向かいのアパートの住人を望遠鏡で観察していると、病気の妻を抱えた大男(レイモンド・バー)の部屋から、いつの間にか妻の姿が消えていることに気づく。やがてジェフは、大男が妻を殺したのではないかと疑惑を抱くが...。

 

ジェフの恋人役を演じた、グレイス・ケリーの輝くような美しさが際立っているほか、ユーモラスな看護師を演じたセルマ・リッターの毒舌も出色だ。

 

以上6作品のほかにも、「真昼の決闘」(52年)、「エデンの東」(55年)、「巴里のアメリカ人」(51年)、「地上より永遠に」(53年)、「波止場」(54年)、「八十日間世界一周」(56年)、「ベン・ハー」(59年)等、名作、傑作揃いである。

これらについては、いつの日か、<懐かしき1950年代の映画「アメリカ編」その2>で触れてみたい。

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1 件の返信 (新着順)
Karin
2023/11/27 21:24

12人の怒れる男、最近観ました!室内の蒸し暑そうな空間からの解放、見てる側も「ふ〜」隣りますよね♩1950年代、タイトルは聞いたことあっても観たことない作品ばかりなので、参考にさせていただきます!


趣味は洋画
2023/11/29 11:12

Karin 様
コメントを頂きありがとうございました。
「十二人の怒れる男」は、オールタイム・ベストテンで毎年ナンバーワンに推している作品です。
(勿論、個人的自我流な好みですが)

1950年代~1960年代の作品は、何れも「手作り感と奥行」があって、観ていて不思議な落ち着きを感じます。