広島に原爆投下を実行した軍人ポール・ティベッツの伝記映画。
シリーズ『 オッペンハイマー 』の日本公開を待ちながら その5
『決戦攻撃命令』
原題 Above and Beyond (予想を超えて/期待以上)
1945年8月6日 広島への原爆投下実行指揮官アメリカ空軍の軍人ポール・ティベッツの伝記映画。
ロキュータス名義の映画レビューは こちら
企画と脚本( 共同 )はアメリカ空軍予備役の脚本家バーン・レイ。
空軍のドン カーティス・ルメイ将軍との意見交換の中で、空軍将官の離婚率の高さの話が出て、任務の大変さをアピールし家族の理解を促す意図で企画されたものらしい。
1952年公開当時、ティベッツは現役の軍人。 米ソは原爆さらに水爆と核武装化競争真っただ中の時期。
共同脚本と共同監督は当時コンビを組んでいたメルヴィン・フランクとノーマン・パナマ。 ボブ・ホープとビング・クロスビーの珍道中シリーズの脚本・監督や『 ホワイト・クリスマス 』の脚本などで知られる。
アメリカ空軍の広報宣伝映画の性格があるが、ハリウッドはうまく娯楽作品にする伝統がある。
ティベッツが命じられた極秘任務と、明かされないゆえ生じる家族や友人とのあつれきに苦悩する様を描き、映画は好評を得てヒットもしている。
ティベッツにロバート・テイラー。 妻のルーシーにエリノア・パーカー。
防諜担当将官をジェームス・ホイットモアが演じます。
本作は広島に原爆を落とすまでの話なので、日本人という自身のバイアスを踏まえて、プロパガンダというレッテルを貼って観ても始まらないし、あらかじめ否定的スタンスありきで観ないよう意識して観ました。
ただ原爆投下シーン、きのこ雲( ただしヒバクシャからは、あれは雲ではなく火柱だと指摘がある )から感じるものは、『 博士の異常な愛情 』『 未知への飛行 』などの、仮想の設定で感じるものとは、当然全然違う。
上空から見た炎に包まれる広島の街には、たくさんの人がいて地獄絵図の様相だったのですから。
本作を観終わって、やはり何とも言えない思いを抱きました。
なお本作公開3年後の1955年ティベッツ夫妻は離婚したとのことです。