宮内洋の出演映画
70年代スターシリーズ、今回はヒーロー役者と言えば真っ先に挙がるであろう宮内洋である。彼もテレビ中心で活躍しているので、映画出演は少ないのである。
宮内洋は47年生まれ(自著では45年生まれとしている)。早くから丹波哲郎に憧れ弟子入りを志願するが「高校を卒業してから来い」と言われたというエピソードから、高校在学中には丹波門下を目指していたようだ。
68年に東映ニューフェイス12期生となる。同期は片山由美子、ひろみどり、小林千枝など。片山由美子は「ジャイアントロボ」に出演した後に正式入社した形である。
テレビドラマデビューは69年の「あゝ忠臣蔵」だが、本人は「キイハンター」と言い切っている。師匠・丹波哲郎や千葉真一主演のアクションで、70年の正月放送の92話から登場した。役名の壇俊介は「スパイキャッチャーJ3」(65年)で主役の川津祐介の役名と同じである。無論、師匠である丹波の尽力もあってのレギュラー入りだろう。
映画のデビューも69年である。ウィキペディアでは「夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース」が挙がっており、公開時期から言うとこれが映画デビュー作となるようだが、役柄は確認できなかった。まあチョイ役なのだろう。ちなみに「長崎ブルース」は青江三奈のヒット曲で、松方弘樹、谷隼人、梅宮辰夫、大原麗子に加え青江本人も出演している。
「やくざ刑罰史 私刑」は、石井輝男の監督作品。本作で宮内はやくざ一家で菅原文太の弟分のような役を演じている。新吉という役名もあったりする。他の出演者は大友柳太郎、林真一郎、安部徹、大木実、石橋蓮司、高英男、吉田輝雄などで同期の片山由美子も顔を出している。69年はこれらの作品に顔を出し、明けて70年、前述のように「キイハンター」にレギュラー入りしたのである。
70年はあのシリーズにも出演している。それは「不良番長」シリーズである。まずその第8作である「不良番長出たとこ勝負」。主演は梅宮辰夫で、「キイハンター」の先輩である谷隼人がレギュラーだった。梅宮演じる神坂弘以外のカポネ団はだいたいあだ名で呼ばれ、谷はそのまま「タニー」だったが、谷川武というちゃんとした本名設定もある。山城新伍も毎回登場するが、基本的には同じようで違う役だ。「××五郎」であることが多い(本作ではハクライ五郎)他は流動的なのだが、本作でも団員役である鈴木やすし、安岡力也である率が高い。毎回その助っ人が登場するのだが、本作では待田京介で、デビューまもない渡瀬恒彦もそんな感じの役だ。さて宮内だが「柔道場の警官」というチョイ役である。相馬剛三、関山耕司という東映お馴染みの脇役と一緒に映ったりしている。
そして第10作「不良番長口から出まかせ」にも宮内は出演しているが、本作では団員役に昇格し、タカシこと沢田隆役である。実は谷隼人が前作限りで降板しており、その二枚目枠に宮内が入ったということだろう。
谷の降板は「キイハンター」の撮影で時間が取れなくなったということのようだが、じゃあ同じ番組に出ている宮内はという話になる。これに関しては谷は「キイハンター」の正メンバーで出演率は高いが、宮内は「国際警察特別室」という彼らの後方支援的な立場で、この70年の出演回数は16回なので余裕がありそうである。ちなみに、第1話から登場している室長役の仲谷昇は5年間で16回しか出演していない。そういえば宮内は45年生まれであることを自著で明かしているが、谷は46年生まれなので宮内が年上だったことになる。宮内の「不良番長」シリーズ出演は本作以降なく、1回限りのカポネ団員であった。