宮内洋の出演映画 その2
前回に引き続き宮内洋である。
71年に入っても「キイハンター」の出演頻度は前年とほぼ変わっていない。しかし、映画出演は「現代ポルノ伝 先天性淫婦」の1本だけである。主演はサンドラ・ジュリアンに池玲子で「あの宮内洋がポルノ映画に」と今なら思ってしまうが、まだヒーロー役者になる前だし、東映専属俳優なら出ろと言われれば、出るしかなかったのだろう。当時の本人がどう思っていたかは知らないけれども。
サンドラはフランスの女優で東映が招聘し、二作品に出演している。おそらく、彼女主演の洋画が日本でも公開され反響が良かったので呼び寄せたということではないだろうか。宮内をめぐるサンドラ対池玲子みたいな構図があるようだが、そんな単純ではなく、小池朝雄、渡辺文雄、遠藤辰雄(太津朗)といった中年たちが絡んでくるようだ。
72年も池玲子主演の「女番長ブルース牝蜂の挑戦」に出演している。女番長シリーズの2作目である。池が率いるのが「パール団」で、渡辺やよい、杉本美樹らがメンバー。杉本はシリーズ3~5作目では主役に昇格する。対立する「黒ゆり会」のリーダーが風間千代子で、メンバーに女屋美和子など。その風間の恋人が宮内である。風間はモデル出身で、72~76年の期間東映の映画やテレビ作品に出演していた。宮内はグループ間の対立を止めようとしたりする好人物として描かれており、その兄貴分として登場するのが梅宮辰夫演じる自称「不良番長」。設定(台本)上は宮原明という名らしいが、その正体は「不良番長シリーズ」の神坂弘のようである。他に荒木一郎、小山明子、由利徹、小池朝雄、岡八郎、山城新伍などが出演している。
72年はもう1本あり、「麻薬売春Gメン」に出演している。やはり「キイハンター」の先輩でもある千葉真一主演の正統派アクション映画である。千葉はタイトル通り麻薬Gメンの役で、宮内は彼とは別に事件を追う県警の刑事役である。
他には、千葉の妻役に武原英子、宮内とコンビのベテラン刑事が佐野浅夫で、渡辺文雄や戸浦六宏、渡辺やよい、中村敦夫らが出演している。麻薬捜査事務所の所長に河合弦司、県警の刑事役に相馬剛三、日尾孝司、伊達弘といったお馴染みの東映脇役陣が並んでいる。
三悪(性病、麻薬、売春)追放協会が全面協力のキャンペーン映画という側面もあり、その協会の代表である菅原通済が自ら出演している。フィクサーとしても知られるが、小津安二郎のタニマチ的な存在でもあり「彼岸花」「秋刀魚の味」などの小津映画七本に脇役で出演していたりもする。
73年は女番長シリーズの4作目である「女番長(スケバン)」に出演。本作は杉本美樹、池玲子のW主演といった感じであろうか。宮内はかつて池の恋人であり、杉本ともいい関係になってしまうというモテ役柄であるが、結局は池ををかばって命を落とすのである。悪の親玉が天津敏で、杉本と池が共闘して立ち向かう。割合シリアスな展開となるようだ。他の出演者は荒木一郎、衣麻遼子、名和宏、内田勝正、遠藤辰雄、三原葉子、須藤リカ、一の瀬レナ、太田美鈴、丘ナオミなどで歌手の西来路ひろみも杉本の仲間として出演している。