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tetsu8
2025/03/23 12:33

加藤剛の出演映画 その2

引き続き、加藤剛である。

 

65年になり、松竹映画がもう1作。文芸作品への出演が続く加藤剛だが、「獣の宿」は娯楽時代劇の部類である。監督・脚本が五社英雄(柴英三郎が共同脚本)で、主演は平幹二朗だ。五社、平、加藤とくれば、「三匹の侍の顔ぶれである。
 

話が前後するがドラマ「三匹の侍」の第1シリーズは63年10月~64年4月にかけて放送。この時のメンバーは丹波哲郎、平幹二朗、長門勇であったが、64年10月からの第2シリーズから丹波に代わって加藤が入ったのである。獣の剣は64年9月、つまり1、2シリーズの間に公開されたわけで、加藤剛起用の予告みたいなものだったかもしれない。共演は岩下志麻、天知茂、東野英治郎、田中邦衛、菅貫太郎、木村俊恵、加藤武などで、カトウタケシ対決があるかもしれない(加藤剛の本名の読みはタケシ)。「三匹の侍」の映画版も64年5月に公開されているが、こちらはまだ丹波が出演している。
三匹の侍」は第6シリーズ(68~69年)まで放送され、加藤剛をこれで認識した人も多いと思われる。
 

65年はもう1本、東映の逃亡である。これが初の東映ということになるのだろうか。戦時中、上官の命令で捕虜の処刑に立ち会ったことで、戦犯裁判を受けることになった加藤は裁判が正当性を欠いていることなどを聞かされて千葉真一原田清人らと逃亡。その間に婚約者だった佐久間良子と結婚する。開拓村に逃げ、一時は平和な時を過ごすが、原田や千葉が捕まり、夫婦の元にも警察の手が迫っていた、というような話。加藤剛が出演するとどの作品も社会問題を提起するような内容になる気がする。共演は江原真二郎、東野英治郎、西村晃、亀石征一郎、北村和夫など。
 

ヒロシマ一九六六」(66年)は、独立プロによる作品で、タイトルから推測できると思うが、終戦から21年後の被爆者母娘の生活を中心に描いている。映画サイトなどでは「未公開」とされている所もあるが、封印作品とかではなく、大手に配給されなかったということのようだ。上映会などで陽の目を見ることもあるようだが、ソフト化はされていないので、基本的には見ることが困難なようだ。主演は望月優子だが、その娘役の鈴木宏子は彼女の実の娘らしい。この母娘とは別に加藤剛松本典子の恋愛模様も描かれているようだ。松本典子と言っても80年代アイドルとして活躍した方ではなく、同姓同名(共に芸名だが)の女優の方である。加藤の役名が田岡一夫となっているが、それだと某組長と同名(正確には一雄)だろうと思ってしまった。

 

さらに余談になるが、同年に同じ題材で公開されたのが日活の「愛と死の記録」である。渡哲也演じる被爆青年と吉永小百合との悲恋もの。元々は浜田光夫が主演のはずだったが、ケンカに巻き込まれ眼を負傷し失明の危機にさらされた為、渡が代役に立てられたのである。浜田の復帰を待つべきという意見が多く、吉永や渡もその考えだったようで、撮影開始までは多少揉めたらしい。
 

67年は、ウィキペディア等では日活の「喜劇 東京の田舎っぺ」という東京ぼん太主演の映画に加藤剛が出演したことになっているが、これは加藤武の誤りのようである。出演作に挙げられている中で、一際違和感があったが、やはり間違いだったようだ。

同じく67年東宝の時代劇「上意討ち 拝領妻始末」に出演し、三船敏郎と親子の役を演じる。享保年間の会津藩が舞台で、城主・松平正容(松村達雄)の側室下がりとの結婚を命ぜられる笹原与五郎(加藤剛)。藩命には逆らえず嫁として迎えることになったいち(司葉子)は、思いのほか良妻であった。二人の間には娘とみも生まれ、しばらくは幸福な時間を送っていた笹原家であったが、世継ぎの子が病死したことから、いちとその娘のとみを城に戻せという。その理不尽さに怒る父・伊三郎(三船)と与五郎、いち。藩と対立し斬り合いとなり、笹原父子、いちも命を落とすと言うような話だ。他に神山繁、青木義朗、山形勲、そして仲代達矢など。ラストは黒澤映画のように三船対仲代の構図になるようだ。「いち」は実在の人物らしいが、あの「お市の方」とは別人。200年程時代が違う。
なお、92年にドラマとしてリメイクされているが、与五郎を演じた加藤剛が父・伊三郎を演じている。与五郎は船越英一郎、いちは渡辺典子である。
 

69年は大映の「天狗党」に出演。主演は仲代達矢だが、大映での主演は珍しい。東宝出演が断然多いので東宝所属のようなイメージだが、実はフリーなので、五社協定に縛られず各社に出演している。共演は若尾文子以外のメインはほぼ大映の俳優ではない。十朱幸代、中谷一郎、神山繫、亀石征一郎、山田吾一、中村翫右衛門などで、メインキャスト以外はお馴染みの大映脇役陣が並んでいる。加藤剛の役は天狗党のリーダー格である加多源次郎。 

 

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