遂に決定‼︎
皆さんこんにちは
『ポップコーン片手に🍿』 かこです。
今年もあっと言う間に上半期が終了、印象に残った映画はありましたか?
改めて振り返ると2024年の上半期は難解映画が多く、レビューや考察に苦労した記憶があります。
そしてこの時期恒例のベスト映画を選考してみたら、やはり難解映画がランクイン!
それでは早速レビューにいってみましょう!
第1位『哀れなるものたち』
監督/ヨルゴス・ランティモス
主演/エマ・ストーン
マーク・ラファロ
ウィレム・デフォー
ーあらすじー
1度は死んだ若い女性ベラだったが、天才外科医ゴドウィン・バクスターの手術によって生まれたばかりの赤ん坊の心を持って生き返る。ベラはゴドウィンに見守られ、急速に成長。次第に自我に目覚めていくべラは、やがて弁護士のダンカンとともに未知なる世界を求めて壮大な冒険へと旅立つのだった。
ランティモス監督、再び強烈な映画を世に放ちました!ランティモス作品に慣れていない方は独特な表現方法に戸惑うかと思います。
言葉にするのが難しい作品で、感じたことを正直に言葉にするベラが羨ましい限りです。
本作はベラを演じるエマ・ストーンの大胆な演技が目立ちますが、アイデンティティは決して固定的なものではない、ということが物語の根底にあると私は捉えました。
さまざまな経験を重ねていくことで、自分自身をアップデートして新たなアイデンティティを獲得していくことができる。
そして私の心と体は私だけの物、他者に支配させてはいけない、そのようなメッセージも感じられます。それはベラが着用する衣装にも表れており、大きく膨らむパフスリーブはこれから始まる冒険への期待と比例していました。
それには環境が大切。
生まれてから当たり前のように見ていた景色、感じたことは潜在意識として残る、おそらくベラも同じだと思います。
しかし豪華客船の旅では、今までにない新たな知識と出会い、複雑で繊細な感情を知ることになるベラ。今の自分に必要な情報と思ったら良否問わず積極的に吸収していきます。
そしてベラの心も変化していきました。
ある場所では社会構造を学び、初めてアイデンティテイを確立、目標を見つけ更なる自己実現の達成へと動き出そうと強い意思を示すベラ。
意外にもベラが経験した"熱烈ジャンプ"が
彼女の武器になり、助けにもなりました。
それなら当然ハッピーエンド?
ランティモス監督が無難な着地を選ぶはずがないのです。今回も縛り付けていた者からは解放されましたが、ベラもその他の人物も最終的に幸せになれたのかは分からず…。
わたしたち観客は、再びランティモス監督に突き放されて終わったような気がします。
第2位『パスト ライブス/再会』
監督/セリーヌ・ソン
主演/グレタ・リー
ユ・テオ
ジョン・マガロ
ーあらすじー
ソウルで同じ小学校に通う12歳のノラとヘソン。成績優秀で仲の良い2人は、互いに淡い恋心を抱いていた。しかし、ノラの家族が海外移住することになり、2人は離ればなれに。12年後、それぞれニューヨークとソウルに暮らしていた2人は、SNSで繋がり、ネットを介して再会を果たす。その12年後、36歳となったノラは作家のアーサーと結婚していた。そんなノラに会うため、はるばるニューヨークまでやって来たヘソンだった。
監督を務めたのは、本作が長編監督デビュー作となったセリーヌ・ソン。12歳の時に家族と共にカナダへ移住した自身の体験を元にオリジナル脚本を執筆したとの事。オスカーは逃してしまいましたが、初監督、初脚本でノミネートとは素晴らしいことです。
薄暗いバーで横並びに座る、アジア系男女ノラとヘソン、白人男性アーサー。3人の関係性を案ずる声と、それに気付いたかのようなノラの視線がスクリーン越しにこちらに向けられる…これは物語の重要なシーンで、ノラとアーサーは夫婦です。
ここから物語は、ノラとヘソンがお互いに好意を抱きながらも離れ離れになる12歳、オンラインのみで再会する24歳、更に月日がたち36歳でようやく再会を果たすまで、12年毎に進んで行きます。
突然ですが皆さんは運命や縁を信じますか?
既婚者や恋人がいる方はすでに運命の人に会っていますよね。まだ出会えていないと言うかたは、運命がふたりを引き合わせる準備をしているのかもしれません。
私は縁も運命も存在すると信じています。
ノラとヘソンも運命で結ばれるはずだったと思うのです、ただタイミングがズレて一緒に歩んでいく事を選択しなかったのです。
しかし遂に!24年振りに二人は再会することになります。その時のぎこちない会話と目線がとてもリアルで、涙が溢れました。
ノラにとってヘソンとの再会は、自分のルーツである韓国の感覚を思い出し(人との付き合い方や思考など)、外国でアイデンティティを確立した自信を揺るがすことでもあります。
それはヘソンが現れたことで、自分とノラの関係を過小評価してしまうアーサーも同じ。
ヘソンはとても韓国的、というノラのセリフが印象に残っています。
この3人、見ようによっては三角関係に見えます。実際には三角関係ではありませんが、ノラとヘソンにしかわからない空気が流れていて、アーサーの気持ちを考えると辛くなりました。
そして本作はラストシーン、特にノラの涙に尽きます!
ヘソンに言うはずだったサヨナラを言えるまでに、24年という長い月日が経過してしまったけれど、直接伝える事ができ、ようやく気持ちの整理がついた…でもそれは二人が終わってしまったことにもなる。止まらないノラの涙の理由は正にそうだったと思います。
夫の前では泣くことがなかったノラも、ヘソンが現れて泣き虫に戻ってしまう、どちらが本当のノラなのか今でも時々考えてしまいますが、あのラストは本当に反則です。
(かなり褒めています)。
抑えていた感情全てを持って行かれました。
ノラ、ヘソン、アーサー、それぞれに感情移入できるとても良い作品でした。
第3位『落下の解剖学』
監督/ジュスティーヌ・トリエ
主演/サンドラ・ヒュラー
スワン・アルロー
ミロ・マシャド・グラネール
ーあらすじー
雪深い人里離れた山荘で、視覚障がいのある11歳の少年が、転落死した父の死体を発見する。最初は事故死かと思われたが、捜査が進むにつれていくつもの謎浮かび上がり、やがてベストセラー作家の妻サンドラが殺人の容疑で起訴される。裁判が始まると、検察の容赦ない追及によって、幸せそうに見えた家族と夫婦の秘密が次々と暴かれていく。
私は極上の法廷劇だと思いましたが、鑑賞された皆さんはどのように感じましたか?
私の主観ですが、タイトルに全ての意味が込められていると捉えました。
そして鑑賞後、解剖学の意味を調べました。
解剖学とは人体の構造を含め生物の有りさまを" どのような「形」をしているのか ”という側面から研究する学問、という事です。
研究する学問、そう考えたらあの結末は納得できるのではないでしょうか?
確かにかなりモヤモヤしますが。
通常なら夫の転落死した場合、頭の傷や残された血痕などを手がかりに、どのように落下し、誰が真犯人なのかをハッキリさせる事が目的だと思いますが、本作は全く異なる内容でした。
転落死を様々な方面から解剖した結果、暴かれた事実が夫婦関係、親子関係、サンドラの人格で、その全てがネガティブなもの、サンドラ家族の落下の物語でした。
それに法廷ではあり得ないと思われるそれぞれの主観が入ってきます。たとえ曖昧でも信じたいことが真実となる、実際に息子ダニエルの主観によって真実が変わりました。
何故サンドラ家族がここまで落下してしまったのかを、様々な側面から解剖し研究、その過程を法廷という形で監督は私たちに示したのだと思います。考察し甲斐のある作品でした。
『落下の解剖学』については、別の視点でもコラムを執筆をしているので、お時間があるときにご覧ください。
ネタバレ『落下の解剖学』から見る真実とは | Discover us
その他にも
「オッペンハイマー」コラム執筆
「ボーはおそれている」
「梟 ーフクロウー」コラム執筆
「カラーパープル」
「ネクスト・ゴール・ウィンズ」
「ダム・マネー ウォール街を狙え!」
「関心領域」 コラム執筆
などを鑑賞することができました。
上半期はあまり映画館に行けなかったので、限られた範囲でのベストになってしまいましたが、その他の上半期公開作品で良作に出会えたらその都度執筆したいと思います。
読んで頂きありがとうございました😊
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投稿を表示さすがーかこさん!ぽい素敵なセレクションです。
『パストライブス』妻が観に行ったのですが感想聞いても
「めちゃリアルだった―」
としか言ってくれないので良さが伝わってきません笑。
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投稿を表示やはりアカデミー絡みの作品は強いっすねぇ〜👏
と言いつつ、やはりオッペンハイマーは皆さんのベストには入って来ない可能性が高そうですね🤔
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投稿を表示ランティモス監督の今までの作品は苦手な雰囲気でしたが、『哀れなるものたち』はものすごく衝撃でとても心地よい余韻が残る作品でした!
なんと言ってもベラの成長が目覚ましく、元来の頭の良さに加えユーモアやアイデンティティが加わり、唯一無二のかっこいい女性になっていましたね!
自分の道を自分で切り開いてく姿がとても眩しくて、もう一度観たくなる映画です!
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投稿を表示『哀れなるものたち』、強いですね〜。自分も2位にしました。
ストーリー展開に伴いベラの世界が広がる姿や成長する姿はフェデリコ・フェリーニ監督の『道』のジェルソミーナのそれに通じるものを感じましたね。
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投稿を表示ノラがヘソンにサヨナラをいうのに24年かかってしまった...その一言を想像するだけで泣けてくる😭最初のお別れの時点でノラのヘソンへの赤い糸は切れてしまった...そう捉えるのが自然ですもんね🥹自分もこの作品と哀れなる者は年間ベストに入れる予定...あとコットちゃんもかな☝️
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