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tetsu8
2025/03/08 17:38

石立鉄男の出演映画 その3

引き続き、石立鉄男である。

68年は松竹作品が2本。まず藤岡弘のところで紹介したミニミニ突撃隊。主演は西野バレエ団5人娘「レ・ガールズ」(金井克子、由美かおる、原田糸子、奈美悦子、江美早苗)で、五人は女子大生の役。大雑把に言うと江美を除く四人が男と知り合う。金井は入川保則、由美は石立で、原田は藤岡弘、奈美が山本紀彦である。江美が省かれているのは、67年11月から加わった新メンバーだからであろうか(本作は68年3月公開)。石立とはドラマで度々共演することになる山本紀彦(トシヒコと読む)とは、ここが初共演(だと思われる)。当時のポスターに山本の名はない。

天使の誘惑」と言えば、黛ジュンの大ヒット曲で、この年のレコード大賞を受賞することになるが、本作は発売から二カ月後の公開である。主演はもちろん黛で、相手役が石坂浩二である。共演は田中邦衛、生田悦子、芦野宏、花沢徳衛、中山千夏などである。黛は石立に憧れるのだが、同僚の生田の恋人とわかり失恋するのだ。作曲家の三木たかしは実兄であるが、次のシングルである「夕月」で初めて曲提供を受けている。ちなみに、「天使の誘惑」のB面である「ブラック・ルーム」の編曲渡辺たかしは三木の変名である。改名第1弾の「恋のハレルヤ」が大ヒットし、人気歌手となった。芦野宏は本業がシャンソン歌手だが、当時は人気ドラマ「コメットさん」に出演していた。映画出演は本作だけのようである。

 

石立に戻るが、68年のもう一作は若者たちである。テレビで人気だった「若者たち」の映画版で、スタッフ、出演者はテレビ版とほぼ同じ。俳優座主導で制作されるが、自主上映という形で公開されている。監督の森川時久はフジテレビのディレクターで、ドラマの演出も担当していたが、本作で映画監督デビューとなった。主演の佐藤五人兄弟は田中邦衛(太郎)、橋本功(次郎)、山本圭(三郎)、佐藤オリエ(オリエ)、松山省二(末吉)。松山が四郎でなく末吉なのは、最後の子供と決められたからだろうか。佐藤オリエは役名と同じだが、役名を芸名にしたわけではない。俳優座養成所で石立と同期であり、そのまま俳優座に入団し、63年には映画・ドラマデビューしているので、役名の方を本人の名に合わせたのである。共演は小川真由美、栗原小巻、大滝秀治、江守徹、井川比佐志などで、いずれもドラマ版に出演している(同役がどうかは不明)。石立は戸坂という被爆者で足が不自由な青年を演じており、オリエが彼に惹かれていくということになるようだ。おそらく映画版のオリジナルキャラと思われる。自主上映という形でありながら観客動員は150万人を突破したという。
 

続編の若者はゆく-続若者たち-(69年)は松竹の配給で、続く若者の旗(70年)は若者たち全国上映委員会の配給となっており、違う形態となっている。五兄弟と石立は引き続き出演しているが、他は木村夏江、大塚道子、夏圭子などになっている。

70年は若者の旗以外に君が若者ならという作品がある。タイトル通り「若者たち」っぽい映画ではあるようだが、監督は深作欣二なのである。アクションか時代劇みたいなイメージなので、こういう青春映画は珍しい気がする。東映に在籍しているはずだが、本作は松竹の製作である。調べるとたまに松竹の作品も撮っている。

五人の集団就職の若者(石立鉄男、前田吟、峰岸隆之介(徹)、河原崎長一郎、林秀樹)が主役で、キャストのトップクレジットは石立である。五人の務めていた工場がつぶれ、団結して独立しようと誓うのだが、河原崎は盗みを手伝い逮捕され、林はホステスと結婚して離脱。峰岸はストライキのピケ破りに参加して、警官に警棒で殴られて死亡する。残る二人の元に脱走した河原崎が逃げ込んできて…というような展開のようだ。他に小川真由美、大地喜和子、寺田路恵など。林秀樹は文学座の役者で、舞台が中心であり映画やテレビ出演は非常に少ない。

俺は眠たかった萩本欽一が製作、監督、脚本、音楽、主演と一人五役を担当する。タイトルは「ねむたかった」ではなく「ねたかった」と読む。役名はそのまま萩本欽一だが、本人設定ではなくサラリーマンである。相方の坂上二郎も警官、欽一の母など役者として一人五役を演じている。共演は左とん平、南利明、前田武彦、青島幸男、伴淳三郎などである。石立は萩本の隣人である革命家志望の男の役。下ネタ嫌いで知られる萩本だが、ここでは石立が彼にSEXを説いたりするのだ。
 

この70年、石立はドラマおくさまは18歳に出演する。石立は岡崎友紀の通う高校の教師だが、実は二人は(秘密の)夫婦であるというコメディ。本作で石立はブレイクする。
 

翌71年にはその映画版であるおくさまは18才 新婚教室が製作される。テレビの方は大映テレビ室の製作だが、当時の大映は経営危機で映画製作が不可能な状態であったので、東宝が代わりに製作を請け負ったのである。そのため岡崎、石立以外の出演者はテレビ版と変更になっており、宍戸錠、塩沢とき、藤村有弘、渚まゆみ、高橋厚子、笠置シヅ子などが、寺尾聰、富士真奈美、森川信、うつみ宮土理などに代わって出演している。

本作では製作に本木荘二郎の名が約15年ぶりに登場。初期の黒澤明作品のプロデューサーだが、予算の私的流用などで契約を解除されていたのである。森岩雄(当時東宝副社長)の指示だったらしいが、興行的には成功せず、本作と桜木健一主演の柔の星の二本だけに終わっている。

 

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