篠田三郎の出演映画 その2
引き続き篠田三郎である。
71年になり「高校生ブルース」で共演した関根恵子(高橋惠子)とコンビで主演となったのが「高校生心中・純愛」である。この頃の大映の高校生ものと言えば、篠田も出演していた「高校生番長シリーズ」のような不良が中心で、「軟体動物シリーズ」や「ジュニアセックスシリーズ」のような際どい性を描いたようなものばかりだったが、本作はタイトル通り悲劇の純愛ものである。
篠田と関根は恋人同士であったが、篠田の兄(金子研三)がその父(美川洋一郎)を殺害するという事件を起こす。参院選出馬を控えている関根の父(加藤武)は二人の交際を禁じる。篠田の母(竹里光子)も心労から急死。両親のお骨を持って郷里の信州へ帰ろうとする篠田を関根が追いかけて汽車に飛び乗る。二人で長野での生活を送ることになるが、関根の捜索願が出され篠田は誘拐犯として逮捕される。というような絵にかいたような悲劇が続き、ラストに二人は…といったお話だ。
これが好評だったのか、翌月には同じ篠田・関根コンビによる「樹氷悲歌(エレジー)」が公開されている。関根が同タイトルの主題歌を歌っている。こちらも純愛ものだが、大映時代の篠田の相方的存在だった小野川公三郎が加わる。松坂慶子が芸者をしている彼等の同級生という役。他に近藤宏、三崎千恵子そして伴淳三郎が関根の父役で登場する。伴淳の同僚として登場する三夏伸は痩せた勝新太郎のような風貌で、チンピラのような役も多いが、れきっとしたニューフェース(15期)である。実際「座頭市物語」のロングショットの場面で勝の代役を務めたこともある。
そして、四カ月ほど空いての同コンビによる三作目が「成熟」である。これは山形県鶴岡市が舞台で「神輿流し」という実在の行事の言い伝えをきっかけに、違う高校に通う篠田と関根が付き合うようになる。言い伝え自体が創作かどうかは不明だ。この二人に八並映子、菅野直行が絡んでくる。まあ本作は悲劇ではなく、ハッピーエンドに終わるようである。
他に小野川公三郎、早川保、赤座美代子、近藤宏、木田三千雄、青空はるお・あきお、そして伴淳三郎。本作で伴淳は篠田の父役だ。ちなみに、伴淳の大映出演作は少ない。
この二カ月後、大映は倒産することになるので、篠田だけでなく関根、小野川なども本作が大映最後の出演作品となった。それぞれテレビが活躍の中心となっていくのである。
篠田はこの71年に宣弘社製作の高校野球ドラマ「ガッツジュン」にレギュラー出演。主演は藤間文彦で、そのナインを小野進也、畠山麦、日吉としやす等が演じた。篠田も13話よりサードの進藤役で登場。
そして、その同じ枠(タケダアワー、TBS系日曜19時)において後番組の「シルバー仮面」に主役である柴俊夫演じる春日光二の弟である光三役で引き続き出演し、ある程度お茶の間にも顔が知れたのではないだろうか。