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Stella
2025/02/21 12:06

サガン原作の「水の中の小さな太陽」(「悲しみよこんにちはⅡ」)

◆はじめに

 マニアのページでシーンから作品名を当てるクイズを出したが、鑑賞機会も少ないので、難しかったかもしれない(パリとリモージュで撮影)が、ミシェル・ルグランがエンディングで歌っている「愛のささやき(Dis Moi)」が素敵なので恋愛映画としてご紹介する。(日本では、ほぼ知られてない様だが、レパートリー曲トップとして歌っていく予定。)

◆「水の中の小さな太陽(Un peu de soleil dans l’eau froide)」(1971)

 別題として、「悲しみよこんにちは II 」としてVHSが制作されているが、DVDはなかったので、文庫を先に読んで、原語で鑑賞した。

 パリのある通信社に勤務するジル(マルク・ポレル)は、三十代はじめの独身青年で有能なジャーナリストとして将来を嘱望されていたが、ここ数ヵ月というものは、仕事等のごたごたで精神的にかなりいきづまっていた。親友ジャンはそんな彼を心配し、しばらく静養するよう勧めた。ジルは南フランスの美しい都会リモージュへ帰った。この都会の清浄な空気や温和な人心は彼を間違いなく甦えらせるはずだった。ある日、この地方の名士シルヴネール家で催されたパーティに招かれたジルは、そこで夫人であるナタリーを紹介され、その美しさに心を奪われた。・・ナタリー(クローディーヌ・オージェ)もジルを見た瞬間から愛していたのだ。短い休暇の間、二人は近くの草原や林を散歩し愛を確かめあった。やがて休暇を終えてパリに帰ったジルのところに、夏が終る頃ナタリーは夫のもとを去ってパリに出てきた・・。

 小説のタイトルからは、”冷たい・・”が削除されているが、この詩的なタイトルは、サガンが好むポール・エリュアールの詩からとられている様だ。

❤クローディーヌ・オージェ(1941-2019)

 「007/サンダーボール作戦」でボンドガールを演じているが、もともとは17才でミス・フランスに選ばれたパリジェンヌ。

マルク・ポレル(1949-1983)

  スイス出身の俳優。早く亡くなっているので活動の幅は少ないが主演作品は本作位かもしれない。ただ、前回ご紹介したルキノ・ヴィスコンティの「イノセント」では、露出はかなり少ないものの、なかなか印象的な作家の役を演じている。

イノセントより
イノセントより

◆◆所感

 美男・美女カップルの恋物語であり優雅な時間が紡がれるが、ちょうど1968年の5月革命の影響もあるのか、若者の倦怠感や虚無思想の様なものが見え隠れする。また、最後迄わかりあえないで終わる関係は、「悲しみよこんにちは」とは違い、悲しみが昇華される潔さがある。

 助演には、ナタリーの弟役にジェラール・ドパルデューや、リンゴ・スターの奥さん(バーバラ・バック)がジルの前の恋人役で出演するのも華を添える。

 なんといっても、牧歌的なリモージュの街の美しさや、自然の風景等が、一時的な幸福感を演出する。 


◆フランソワーズ・サガンの小説の映画化

 いろいろと映画化されている様だが、まだ観れてないものもあり、印象的な作品は以下の2作品になる。

◆「悲しみよこんにちは(Bonjour Tristesse)」(1957)

 ヒロインのセシルにちなんで、セシル・カットの流行を生んだ米国出身のジーン・セバーグのボーイッシュな魅力にひきつけられる。この作品を最初にみたのは結構若い頃だった。アメリカ映画になる。

セシル・カット

◆「さよならをもう一度(Goodbye again)」(1961)

 熟年女性を演じるイングリッド・バーグマンに、恋人のイヴ・モンタン、若い恋人のアンソニー・パーキンズと豪華なキャストで制作されたアメリカ映画で、大人の恋愛を描いた渋い作品であり、ちょい悪系のモンタンの役も似合っている。サガンの原作「ブラームスはお好き」は、若い恋人がさそったブラームスのコンサートで示される。テーマ曲は、ブラームスの交響曲第三番、第三楽章をジョルジュ・オーリックがアレンジしている。★サガン原作の新潮文庫「冷たい水の中の小さな太陽」の表紙は映画のシーンだが、「ブラームスはお好き」他の作品全般にベルナール・ビュフェの絵画が使用されているので、関連投稿でもご紹介した。


◆関連の投稿

・2024年5月:ベルナール・ビュフェの美術館創立50年を記念した、映画関連の企画展開催中!

https://community.discas.net/announcements/ndchjs61s4u5xel7

・2025年1月:❤クイズで始まる2025 フランス映画のタイトルと地名、教えて!

https://community.discas.net/announcements/ilhanzn7d8xy5tvb

・2025年2月:ルキノ・ヴィスコンティの遺作 イノセント(L'innocente)

https://community.discas.net/announcements/bhqbmy8ju68rooy5

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2 件の返信 (新着順)
Black Cherry
2025/02/21 23:53

ミシェル・ルグランの「愛のささやき」が気になり、YouTubeで発見して聴いてしまいました🎶素敵ですね☺️✨


Stella
2025/02/22 07:25

とても馴染みのある曲なのですが、知られていない様ですね。この歌は歌っていて、とても穏やかな気持ちになります。(テーマはかなしいのですが)

趣味は洋画
2025/02/21 23:46

懐かしい俳優名が続々と登場して、思わず立ち止まってしまいました。
まずクローディーヌ・オージェ。
述べられているように、「007/サンダーボール作戦」のボンドガールが印象深いです。
「タランチュラ」(71年)、「サマータイム・キラー」(73年)、「フリック・ストーリー」(75年)にも出ていましたね。

続いてジーン・セバーグ。
「悲しみよこんにちは」(57年)は観ていますが、「悲しみよこんにちはⅡ」があったこと、初めて知りました。

因みに「さよならをもう一度」は、鑑賞からまだそんなに日が経っていないので、ジャケ写で甦ってきました。

またいつか、フランスのクラシック映画を観てレビューアップしてみたいです。


Stella
2025/02/22 07:30

 クローディーヌ・オージェをご存知とは、さすがです。私は「フリックストーリー」とTV映画の「赤と黒」をみたのですが、007も観ようかと思います。中央で分けている髪型も似合っていますね。そういえば「パリの哀愁」で沢田研二とも共演している様です。
 「悲しみよこんにちはⅡ」は結構無理があるのでしょうが、ヒット作品にあやかりたかったのか・・。でもご覧になっていた方々がいるということですね。
クラシック映画のレビューアップ、よろしくお願いします。