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私の好きな映画

cine-ma
2023/07/02 17:06

歳を重ねたヒーローの、42年越しの大団円に拍手

最新作の公開を控え、復習がてら振り返った過去3作。

第1作。レンタルはこちら
第2作。レンタルはこちら
第3作。レンタルはこちら

レイダース 失われたアーク<聖櫃> 1981年公開。舞台は1936年。H・フォード39歳
インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 1984年公開。同1935年。42歳
インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 1989年公開。同1938年。47歳
これ以降の作品はというと、
インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 2008年公開。同1957年。66歳
インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 2023年公開。同1969年。80歳
と、インターバルが半端ない。

3作復習し終えて少々お腹一杯にもなり、改めて「もう(新作は観なくても)いいかな」と思いつつ、新作のクレジットを見ていて気が付きました。

監督がスピルバーグじゃない!?

おいおいおい、マジかよ。だったら尚更もういっか、スルーしちゃおうかという気持ちに大きく傾きつつ、新作を監督したジェームズ・マンゴールドって誰だよと調べてみると、「フォードvsフェラーリ」「ナイト&デイ」の監督だと判って、逆に鑑賞意欲が湧いてきました。未見の4作目も急ぎ観賞。

第4作。レンタルはこちら


№25
日付:2023/6/30
タイトル:インディ・ジョーンズと運命のダイヤル | INDIANA JONES AND THE DIAL OF DESTINY
監督:James Mangold
劇場名:109シネマズ湘南 シアター2
パンフレット:あり(¥880)
評価:7

少なくとも1作目と4作目は観た上で本作を観賞することをお勧めします。
1981年暮れの公開から足掛け40年以上。1作目を浪人時代に観た私も、今や60過ぎて継続雇用の身。
時代を超越するヒーローばかりが闊歩する中、我らがインディアナ・ジョーンズはしっかり歳を取り続けた(本作での設定は70歳だそうです)。

「クリスタル・スカルの王国」のブルーレイに収められていたインタビューで、スピルバーグ監督はこう語っていました。
「65歳になったハリソンを観客は受け入れてくれるのだろうかと当初は心配したものの、それは無用な心配だった。」
「ハリソンこそが本作の秘密兵器で、最初から彼がこの作品の中心にいたんだと実感した。彼をインディに選んだ事こそが我々が成した最も重要な事で、映画を彼に合わせた事がシリーズの強さだと私は気付いた」

そしてこうも言っていました。
「また続編を作るなら、彼はあと10年はやれるよ」

 

撮影当時は齢80歳になろうかというH.フォード演じるインディアナ・ジョーンズ。前作で迎えたハッピー・エンドから14年の間に色々あったようですが、大学教授の職も定年を迎えた彼に、再び冒険の火種が25年前の因縁と共に訪れる。

前日に前作を観て、本作の監督がスピルバーグでない事を改めて残念に思えた私ですが、ジェームズ・マンゴールド、さすがです。自ずと消えるスピルバーグらしさを補って、見応えあるアクション・シーンの連続。そしてすっかり年老いたインディが、皮のジャケットとフェルトハットを身に着けた途端に20歳くらい若返って見えました。

1980年代に公開された続編の2作がややもするとマンネリ気味に感じた一方、2008年公開の4作目とこの5作目は、インディ自身の立場や時代の変化がむしろ良いアクセントになっていて、私は楽しめました。インディだけでなく、かつて彼を支えた友人やパートナーが、まるでこのシリーズとの別れを惜しむかのように再び登場する度に、こちらの涙腺もユルみまくる。

「インディアナ・ジョーンズの時代は終わった」という見出しが、昨年12月のN.Y.タイムズ誌を飾ったと、先月の日経新聞文化欄に載っていました。記事のテーマは「略奪文化財のいま」。
確かに考古学者ジョーンズ博士は、今となっては墓荒らしであり略奪者の類であったかもしれない。彼が博物館に収めた秘宝の数々も、今では掘り起こした国への返還対象になる品ばかりなのかもしれません。彼の武勇伝は、今の時代では決して褒められたものではなくなってしまった。
奇しくも本シリーズの最終作公開のタイミングでそんな世の中の動向が取り沙汰されるのも、どこか郷愁と寂しさを誘います。

とはいえ決して蛇足となる事なく大団円を迎えた本作に、上映終了後は拍手を送りたくもなりました。

(c)2022 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.
(c)2022 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.
パンフレット(¥880)<CONTENTS>

<CONTENTS>
・イントロダクション 稲垣貴俊
・キャスト・インタビュー
 ハリソン・フォード(インディアナ・ジョーンズ)
 フィービー・ウォーラー=ブリッジ(ヘレナ・ショウ)
 マッツ・ミケルセン(ユルゲン・フォラー)
 ジョン・リス=デイヴィス(サラー)
 アントニオ・バンデラス(レナルド)
・フィルムメーカーズ・インタビュー
 ジェームズ・マンゴールド
 キャスリーン・ケネディ(制作)
・メイキング・オブ・「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」
・「インディ・ジョーンズ」シリーズ・レビュー
 レイダース 失われたアーク<聖櫃>
 インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
 インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
 インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
・インディ・ジョーンズと激動の20世紀 佐藤利明(娯楽映画研究家)
・インディ・ジョーンズシリーズにまつわるコメント集
 S.スピルバーグ、G.ルーカス、F.マーシャル、、、
・ジョン・ウイリアムズとスティーブン・スピルバーグの航海 小林淳(映画音楽評論家)
・フィルムメーカーズ・プロフィール
・クレジット
 

 

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