中村雅俊の出演映画 その2
前回に続き中村雅俊である。
75年は主演ドラマ「俺たちの旅」が大ヒットしている。それに肖ったのか「俺たちの時」(76年松竹)という映画が公開されている。ただしこれは中村雅俊が主役であるということ以外、「俺たちの旅」とは全く関連性はない。スタッフも出演者も全く違うのである。「俺たちの時」の原作はなんと山田洋次。監督は水川淳三で、脚本も鎌田敏夫ではなく高橋正圀である。ヒロインは三度目となる壇ふみで、他に竹下景子、赤塚真人、佐野浅夫、ミヤコ蝶々、柳家小さん、川辺久造、笠智衆などで、森田健作との共演が多いメンバーに感じる。
77年にはかねてから交際中だった五十嵐淳子と結婚。まだデビューから3年そこらで、周囲からは猛反対されたという。実際、ファンクラブの数も1万人から1800人まで減ったという。ファンの数は減ったが、仕事が減ることはなかったのである。
映画では「坊っちゃん」(77年松竹)が公開されている。これが五度目の映画化だそうである。当然、坊っちゃんは中村である。ちなみに近藤大助という本名が設定されている。マドンナは松坂慶子で、他に地井武男(山嵐)、米倉斉加年(赤シャツ)、岡本信人(うらなり)、湯原昌幸(野だいこ)、大滝秀治(狸)、荒木道子(清)、五十嵐めぐみ(小夜)、宇都宮雅代(〆香)などである。
ちなみに、松竹ではこれが三度目の映画化で、66年版では坂本九が坊っちゃん(小川大助)を演じ、マドンナ役は加賀まりこだった。遡って58年版では南原宏治(当時は伸二)が坊ちゃん(塩原昌之助)を演じ、マドンナ役は有馬稲子であった。原作には本名は出てこないので、映画によってオリジナルになっている。南原の坊っちゃんは今考えると想像しにくいが、東映時代は二名目役だったのである。この時期は五社協定に触れ東映を離れ、松竹と本数契約を結んでいた頃である。本作でのあ相手役でもある有馬稲子の推薦でにんじんくらぶに所属したのである。
話を戻すとテレビの方では「俺たちの祭」が始まっている。ヒロインは映画でコンビを組むことが多かった檀ふみが起用されている。スタッフは「俺たちの旅」と同じなのだが、シリアスな展開が多くなり視聴率的に苦戦し、全23回で終了した。実は「われら青春!」も全22回で終了しているのだけれども。
77年の年末に公開、つまり78年の正月映画であるお馴染みのシリーズ「男はつらいよ 寅次郎頑張れ」に中村は出演する。ストーリー上は準主役ともいえる役柄で、彼の姉役がマドンナとなる藤村志保で、中村が恋する娘を大竹しのぶが演じている。
このタイミングで「俺たちの旅」のDVDマガジンの発売が発表され、当時の出演者である中村雅俊、田中健、岡田奈々が記者発表会に姿を現した。中村、田中は72歳、岡田は64歳になるが、まあ実年齢よりは若く見える。岡田奈々というと、若い人はAKB48のメンバー(元)を思い浮かべるのだろうが、やはり我々世代には70年代アイドルだった彼女のことである。ただし、先輩の方は芸名だけれども。