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cine-ma
2024/09/24 13:41

2024年に観た映画(37) 「ぼくのお日さま」

北の辺鄙な地方都市を舞台に、元フィギュアスケートのスター選手荒川(池松壮亮)とその教え子さくら、荒川が声を掛けたタクヤの3人の、少しだけ時計の針を巻き戻したひと冬の物語。

キャストの紹介文を読むと、タクヤは小6でさくらは中1。「小さな恋のメロディ」のダニエルとメロディを例に出すまでもなく、この年頃は子供っぽい男子に対して女子は随分と大人びている。

この作品が扱う2つのデリケートな問題を、奥山監督は巧みにナチュラルに作品の中に取り込んでいます。タクヤには心優しいコウセイという友達が寄り添い、彼の存在が観客に安ど感を与えてくれる。荒川の“秘密”も徐々に明らかにしながら、タクヤとさくらに対する扱いの差は、その後に訪れる出来事への伏線も十分に連想させる。

ただ奥山監督がさくらに押し付けた役回りと彼女の心ない発言は、観終わった後に後味の悪さしか生まなかったのが残念でなりません。ここはステレオタイプに描いたタクヤの家族やさくらの母親に任せるわけにはいかなかったのだろうか。

ラストで流れるハンバート ハンバートさんの主題歌は、この作品の為の書き下ろしではなく、むしろこの曲に触発されて本作が生まれたらしい。本作のラストはこの曲に救われてもいます。

三者三様の春を迎えた3人。主人公タクヤの行末に悶々としてしまう終わらせ方に釈然としないまま、劇場を後にしたのでした。

№37
日付:2024/9/15
タイトル:ぼくのお日さま
監督・脚本:奥山大史
劇場名:シネプレックス平塚 screen2
パンフレット:あり(¥1,000)
評価:5

(c)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS
(c)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS
(c)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS
(c)2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS
パンフレット(¥1,000)

<CONTENTS>
・イントロダクション
・ストーリー
・キャスト
・音楽
・監督インタビュー
・スタッフ
・『ぼくのお日さま』前日譚 奥山大史
・自己紹介文(タクヤ)
・自己紹介文(さくら)
・自己紹介文(荒川)
・自己紹介文(五十嵐)
・舞台となる町
・「ぼくのお日さま」歌詞 佐藤良成
・座談会 越山敬達×中西希亜良×池松壮亮×奥山大史
・クレジット

 

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