私の好きな映画

cine-ma
2025/06/05 20:54

2025年に観た映画(24) 『か「」く「」し「」ご「」と「』

少女は卒業しない」は、2023年に観た邦画の中で最も後を引いた作品でした。中川駿監督の最新作は、前作同様に人気作家のベストセラー小説が原作であり、高校生が主人公なのも一緒。

クラスメイト5人組の高校生活を追いながら、何事にも悲観的で陰キャな京(奥平大兼)とクラスの人気者ミッキー(出口夏希)の恋の行方を描いた本作。
こう書くと男の子のロマン、古典的な少女漫画の逆パターンな作品のようですが、まさにその通りw。5人各々に提供された驚くべき“かくしごと”にも、オジサンちょっと憧れました。
陰キャ設定の京ですが、クラスで目立つ存在のヅカ(佐野晶哉)と常に連んでいたり、仲良し5人組に女子が3人も(!)いたりと、ちょっとあり得ないくらいに恵まれた高校生活。そのくせいつまでたっても必要以上にウジウジしているもんだから、最後には感情移入の対象不適合者に。
一緒に観た妻に「あんな京の返事、ありえなくない?」と問うたところ、「いいのよ、あれで」と彼を擁護されてしまった(妻的には本作は「よかった」そうです)。

原作は未読ですが、今回は中川駿作品を純粋に楽しみたかったので、この点はあまり気にならなかった。ただ正直、前作ほどには刺さりませんでした。5人のキャラ立てと感情の交錯をどう描くかが本作の重要成功要因なのだけれど、京の過剰なヘタレ振りに加えて残りの3人、特にヅカのキャラクターの解り難さが、キャスティング含め私にとってはマイナス要因に働いてしまった。つられるようにパラ(菊池日菜子)とエル(早瀬憩)も、この青春群像劇を彩る大切な仲間としてもう一つ応援出来ず仕舞いでした。

監督曰く、「心=本当の自分ではなく、何をしたかが大事だというメッセージ」が本作には籠められているそうです。劇中それを体現する台詞に違和感を感じた私ですから、もとよりズレが生じていたのかもしれません。

と色々と不満こぼしてはいますが、そもそも期待過剰気味に劇場に足を運んでいる反動が大きいだけです。
ポスターやスチールのデザインが前作と非常に似通ってもいて、大好きなジャンルではあるものの、前作の二番煎じ的な広告戦略にも思えました。中川監督が次回作でどんなジャンルの作品を選ぶのか、それもちょっと楽しみです。

№24
日付:2025/6/1
タイトル:か「」く「」し「」ご「」と「
監督・脚本:中川駿
劇場名:シネプレックス平塚 screen2
パンフレット:あり(¥990)
評価:5.5

パンフレット(¥990)

<CONTENTS>
・イントロダクション
・ストーリー
・相関図と“かくしごと”
・コメント 奥平大兼/出口夏希
・コメント 佐野昌哉/菊池日菜子/早瀬憩/ヒコロヒー
・記号のデザインができるまで
・プロダクションデザイン ヒーローショー/はーむれすベア
・ファッション
・インタビュー 中川駿
・スペシャルトーク 奥平大兼/出口夏希/佐野昌哉/菊池日菜子/早瀬憩
・コメント ちゃんみな
・テーマソング
・スタッフプロフィール
・コメント 住野よる
・プロダクションノート
・撮影合間のショット
・クレジット

 

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