2024年に観た映画(12) 「オッペンハイマー」
NHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」という番組で「マンハッタン計画 オッペンハイマーの栄光と罪」という放送回があって、結果的にこの番組が彼の担った役割を予習する役割を果たして観賞に臨んだ本作。
先の大戦の命運を握る一大国家プロジェクトとして、かつてない威力を持つ新兵器開発競争の先頭に立った物理学者オッペンハイマー。その壮大な計画の内幕と完成までのプロセスをスリリングに描きつつ、“原爆の父”ともてはやされた彼の栄光と挫折を、大戦の前後の時代を行き来しながら振り返る。
これまで数多の歴史上の事実が映画と言う娯楽作品の“原案”として採用され、幾つもの名作も生まれてきましたが、クリストファー・ノーラン監督はある意味物凄く正攻法でオッペンハイマーの人生を描いてみせた。錚々たる俳優陣が、まるで歴史上の写真館から抜け出てきたかのように実物と相似している様は、監督と俳優達による登場人物への徹底したアナリーゼの賜物に違いない。
マンハッタン計画の成功に対して、戦後の赤狩りにより彼が裁きを受けるプロセスは登場人物の多さが災いし、状況把握に苦労(特にシュヴァリエ事件に関するエピソード)しましたが、彼の政治信条の系譜と人間関係が、彼の“政敵”に巧みに利用されていく様子もまた緊迫のフィクション劇であるかのようです。
通常のシネコン劇場で観賞しましたが、爆音が腹に響く。かつて「センサラウンド方式」と銘打って上映された「大地震」を思い起こしました。IMAXでの観賞はおススメするに値すると確かに感じます。そもそもIMAXの申し子みたいな監督さんなので、できればフルスペックの劇場で観るべきなんでしょうかね?
インターミッションなしの上映時間3時間と知って劇場への足取りが重くなりましたが、3時間必要でした。再見したいです、IMAXで。
公開までの道のりが随分と長いものになってしまった本作。この点に関しては一映画ファンとしてとても残念だし遺憾でもあり、特に観終えた今はその念が更に強まった。当初配給会社が公開を尻込みしなければならなかった理由は、何処にも見当たりませんでした。
オスカー受賞も納得です(R・ダウニー・Jr.の不遜な態度のみ喝!)。
№12
日付:2024/4/7
タイトル:オッペンハイマー | OPPENHEIMER
監督・脚本:Christopher Nolan
劇場名:シネプレックス平塚 screen8
パンフレット:あり(¥1,200)
評価:6
<CONTENTS>
・イントロダクション
・ストーリー
・キャラクター
・年表
・GLOSSARY 『オッペンハイマー』の時代背景と用語解説 前嶋和弘(上智大学教授)
・CHARACTER & COMMENT / INTERVIEW キリアン・マーフィー
・CHARACTER & COMMENT / INTERVIEW エミリー・ブラント&マット・デイモン
・CHARACTER & COMMENT / INTERVIEW ロバート・ダウニー・Jr.
・CHARACTER & COMMENT フローレンス・ピュー
・CHARACTER & COMMENT ジョシュ・ハートネット
・CHARACTER & COMMENT ケネス・ブラナー
・CHARACTER & COMMENT ディラン・アーノルド
・CHARACTER & COMMENT ベニー・サフディ
・CHARACTER & COMMENT グスタフ・スカルスガルド
・CHARACTER & COMMENT デヴィッド・クラムホルツ
・CHARACTER & COMMENT マシュー・モディーン
・CHARACTER & COMMENT デヴィッド・ダストマルチャン
・CHARACTER & COMMENT トム・コンティ
・クリストファー・ノーラン監督インタビュー&スタッフ紹介
・レビュー 尾崎一男(映画評論家・映画史家)
・レビュー 李相日(映画監督)
・プロダクション・ノート
・レビュー 森直人(映画評論家)
・レビュー 秦早穂子(映画評論家)
・コラム 物理と世界 橋本幸士(素粒子物理学者/字幕監修)
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投稿を表示こんにちは(笑)
「 一人の天才科学者の創造物が世界のあり方を変えた。 その世界に私たちは今も生きている 」tと言ったのではこの映画は伝記映画の印象を与え、従来のオッペンハイマーのイメージを持ってる人は、見るのに気がすすまないし、観てもその先入観で全編彼の一人称で観てしまいます。
本作の題材に基本日本人は抵抗がありますから、アメリカへの反感が作品を誤解させています。
この映画は原爆を作らせたオッペンハイマーを引きずり降ろして、核軍拡を進めて人類の危機を作らせた連中で、もう一人の主役ルイス・ストローズのことは新たな情報なのに、知らせないから不十分なんです。
前後を変えて強調するポイントを変えて
「 核の世界に私たちは今も生きている その原点を描いている 」と現在を強調しないと
日常を平和に過ごしているので危機を実感していない一般の私たちには昔ばなしになってしまう。
クリストファー・ノーランの意図を理解してない宣伝で、渡辺謙さんはナレーションしているだけなんですが、コピーを考えた映画会社が思慮に欠けています。
いきなりぶしつけに理屈を言いましたが、そういうことです。 (^^
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投稿を表示この映画の宣伝、渡辺謙さんのナレーションにもある「 オッペンハイマーの栄光と没落 」は
作品を旧来の視点をひきずった伝記映画に小さくまとめてしまってます。
スケールの大きい歴史映画なのに。 ルイス・ストローズと二人のインサイダーの視点でアメリカの原爆開発・核攻撃の実行から核軍拡の内幕を描いているのに、日本の観客には伝わらない。
作品への誤解を拡散させる完全なミスリードです。
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