ハレンチ学園(映画版)
いきなりだが「ハレンチ学園」の映画版である。原作は創刊してまもなかった「少年ジャンプ」に68年から連載。テレビドラマ化もされ、放送局の東京12チャンネル(現・テレビ東京)では、局内歴代ドラマでの最高視聴率を記録しており(70年10月放送の第2話)、50年以上破られていないらしい(ドラマ以外では93年のサッカーW杯が最高)。
映画版についてだが、ドラマ版よりも早く70年の5月~9月にかけて立て続けに3本が公開されている。テレビ版が先であれば、色々な意味で注目され、より映画もヒットしたかもしれない。現代に比べれば、いろいろと緩い時代ではあったが、当時でさえ低俗であるとか教育上不適切であるなどの非難を大きく浴びていたコンテンツなのである。ちなみにハレンチ(破廉恥)という言葉に性的な意味を含むようになったのは本作がきっかけだ。
さて、1作目の「ハレンチ学園」(70年)だが、製作は日東プロ&ピロ企画、配給が日活となっている。実はテレビ版と同じ役で出演しているのはヒロイン柳生みつ子(十兵衛)の児島美ゆきと、あゆ子役の星野みどり、用務員甚兵衛の左卜全だけである。倉園朱美と増田ひろ子も同じ役だと思われるが、本作で二人はノンクレジットだ。
主だったキャストは雷門ケン坊(山岸)、大谷淳(イキドマリ)、藤村俊二(ヒゲゴジラ)、小松方正(丸腰)、由利徹(パラソル)、渡辺史郎(フーセン)、そして宍戸錠(マカロニ)となっている。
他にはなべおさみ、ミッキー安川、うつみみどり、小桜京子、石井均、武智豊子、上田吉二郎、小松政夫、大泉滉といったところ。実質的な主人公は児島美ゆきと雷門ケン坊のはずだが、クレジット的にはなんと5枚目に追いやられ、児島などは「美ゆき」ではなく「みゆき」とクレジットされている。単純に誤表記なのだが、新人だし「美ゆき」と表記する人はほとんどいないだろうから仕方ないところか。
で、トップクレジットなのが宍戸錠である。まあ日活生え抜きのスターだし、そうかなという気もするが、宍戸と並んでいる表示されるのが藤村や由利ではなくなべおさみである。ちなみに十兵衛の父役で、そう出番が多いわけでもない。不思議と当時のなべは大物扱いされていたのである。
あと、実質的主演の二人のバランスが良くない。同級生設定だが雷門ケン坊が子供っぽく見えすぎるのである。それもそのはずで、児島が18歳なのに対してケン坊はまだ13歳だったのである。ちなみにテレビ版の山岸役である小林文彦も14歳であったため、どうしても児島が大人びて見えた。