高城丈二の出演映画 その3
高城丈二のラストである。

67年に入るが、映画は松竹の「夜のひとで」1本だけである。主演は三田佳子で、東映で佐久間良子と並ぶ看板女優的存在だったが、この67年にフリーになっており、おそらく初の松竹出演と思われる。
金持ちの老人の嫁となった三田だったが、数年で未亡人となる。その後、彼の娘(しめぎしがこ)の婚約者(細川俊之)から求婚されるようになるが、プレイボーイの写真家(高城丈二)と知り合い、関係を持ってしまう。しかし、高城は彼女を遊びとしか思っておらず…というような展開があり、悲劇のラストへと突入していく。松竹作品と言っても三田と高城ではまだ東映感が強かったと思う。三田は本作では無断でヌードのすげ替えシーンを入れられ、抗議すると映画界を干されそうになったという。
そして高城は、テレビでは「七つの顔の男」で主役を演じている。自分が高城を知った作品(と思う)でもある。当然、映画では片岡千恵蔵がやっていた多羅尾伴内シリーズが下地にあるので、原作は比佐芳武となっている。しかし、役名は多羅尾ではなく飛鳥譲次といういかにもヒーローな名前に変更されていた。他の出演者は清水まゆみ、宮地晴子、潮万太郎、住吉正博など。1クールの作品だが、67年10月の終わりから68年1月半ばまでという半端な放送期間であった。
68年は、日活で二本。「藤猛物語 ヤマト魂」は当時のプロボクシングチャンピオン藤猛本人が主演。高城は元ボクサーの役で準主役のようだ。他に山本陽子、冬木京三、橘和子、荻田マイクなど。

「明治血風録 鷹と狼」は、タイトル通り明治初期が舞台のヤクザもので、主演は高橋英樹。耳の不自由なヤクザを演じている。高城はそれを利用して自分の親分(堀雄二)を殺させるという悪党の役だ。他に扇ひろ子、松尾嘉代、二谷英明、藤原釜足、深江章喜、高倉みゆき、鈴木瑞穂など。

70年に入り、松竹の連続ドラマ「姿三四郎」に出演。三四郎は竹脇無我で、高城は宿敵の一人・檜垣源之助を演じている。ドラマ化はこれが4度目であった。他に菅原謙次、鮎川いずみ。朝丘雪路、戸浦六宏、進藤英太郎などで、アクションドラマ「特命捜査室」で共演した大橋一元が弟の檜垣源三郎を演じている。
ドラマ放送中に映画化もされているが、これも4度目である。最初に映画化したのが黒澤明で、監督デビュー作であることは有名だろう。映画版はテレビ版と若干キャストが変更されており、竹脇や高城はそのままだが、高橋幸治、尾崎奈々、森次浩司、堀雄二、白木マリなどが映画版のみ出演している。

70年はもう一本、大映の「あぶく銭」に出演。おそらく初の大映出演であり、天知茂と久しぶりの共演となっている。主演は勝新太郎で、他に野川由美子、水野久美、藤岡琢也、五味龍太郎、成田三樹夫などである。高城は組の代貸だが、成田率いる磯部組に殺される役だ。

71年は倒産寸前の大映作品2本に出演。「若き日の講道館」はタイトル通り柔道もので、主演は岩下亮。岩下志麻の実弟である。他に熱田洋子、川崎あかね、前田吟、戸浦六宏、早川雄三などで、高城の役柄は不明だが、脚本が松浦健郎なので、その縁での出演だろうか。

「海軍四号生徒」は海軍兵学校を描いた作品で、上級生による理不尽なシゴキが描かれている。出演は渡辺篤史、高橋長英、佐々木剛、長谷川明男、伊吹新吾(伊吹剛)、豊田正文(速水亮)などで、高城は生徒ではなく少佐の役である。
72年は「新座頭市物語 折れた杖」。大映倒産により東宝で制作された座頭市で、主演の勝新が監督も務めている。共演は大地喜和子、吉沢京子、大滝秀治、藤岡重慶、中村嘉葎雄など。小池朝雄が悪党の親分でその用心棒が高城である。
最後の映画出演となったのは76年の「天保水滸伝 大原幽学」という作品で、全国農村映画協会の制作で、配給は富士映画となっている。主演の幽学役は平幹二朗で、他に浅丘ルリ子、大竹しのぶ、香川美子、高岡健二、高橋悦史、加藤武、ハナ肇などで、高城は「鳴滝の佐吉」という役だが、未見なのでその立ち位置は不明である。