私の好きな映画

LOQ
2025/02/02 20:57

1979年 日本映画の顔

1979年3月『 ベルサイユのばら 』実写版が公開されました。

 

 

                ベルサイユのばらの画像・ジャケット写真

 

         

 脚本・監督は『 シェルブールの雨傘 』で知られるジャック・ドゥミ

 製作管理は妻のアニエス・ヴァルダの製作会社シネ・タマリスが請け負い、ベルサイユ宮殿での撮影はフランス政府が特別に許可( 30年ぶり )。

音楽はミシェル・ルグラン

製作費10億。製作はキティ・フィルム。 資生堂、日本テレビ、東宝が提携

当時はハリウッド方式の製作と言われましたが、今日の製作委員会の先駆けでしょうか。

 

ベルばらは池田理代子の原作漫画、テレビアニメ、宝塚歌劇と作品世界を広げてきました。 

 一時的なブームを越えて50年以上も愛され、投稿時劇場アニメの新作が公開されてます。

だが、大々的に宣伝され話題を集めた実写版は、批評も興行成績も期待されたほどではない結果に終わりました。

 今日どれだけの人がこの実写版映画を認めているでしょうか。

残念ながら、なかったこと あるいは番外編とされて忘れられているようにも思います。

 

 ジャック・ドゥミに気の毒だったのは、製作発表されたのが公開1年前。 それから脚本づくりとキャステイングをはじめるタイトなスケジュール。

 オスカル役選びは難航し、ドゥミはドミニク・サンダを薦めるが高額なギャラがネックなのと新人を使いたいという日本側の意向で断念。

 オーディションで300人の中からイギリス人で英国ロイヤル・バレエ団に在籍経験を持つ新人女優カトリオーナ・マッコールをドゥミは選びました。

 

 フランスでロケは敢行されましたが、映画は英語版で主要キャストもイギリス、スウエーデン、オーストリア他でフランス人俳優はいません。

 大長編の原作を2時間にまとめる時間的制約と、日本のファンがすでに抱いているイメージからの制約。  結局原作どおりでもなくドゥミのカラーも生かせず、作品は支持されませんでした。

 

 ただ、僕は、本作を池田理代子、ジャック・ドゥミの作品と言うより、プロデューサーの山本又一朗の作品と認識しています。

 

 『 ベルサイユのばら 』公開の1年前 1978年3月に製作発表した時弱冠30歳

 18歳でさいとう・たかをプロに入社。 23歳で仲間とテレビ番組に企画会社を作り、翌1972年には小池一夫と漫画・劇画プロダクションのスタジオ・シップ社を立ち上げ、「 子連れ狼 」(TV)や『 神田川 』の製作にたずさわる。

 

 『 ベルサイユのばら 』製作にあたり独立。 

資生堂(CM タイアップ ) 日本テレビ、東宝に10億円共同出資させメディア・ミックス体制を作り、御曹司の角川春樹に対抗するフリーランスの若い映画プロデューサーとしてマス・メディアの注目を浴びました。

 話題を集めた『 ベルばら 』は期待されるほどの結果は出せませんでしたが。ニの矢、三の矢を放ち、1979年の日本映画界の顔。 この年は彼の年だったと言っても過言ではありません。

 

10月 『 太陽を盗んだ男 』公開。

 

                  太陽を盗んだ男の画像・ジャケット写真

 

       

 

主演 沢田研二 菅原文太  監督は長谷川和彦 『 青春の殺人者 』に続く第2作。  今日でもカルト的人気があります。

『 青春の殺人者 』主演で同作にゲスト出演の水谷豊が「ザ・ベストテン」に出演。

撮影のセット( 原発 )から中継で、「 カリフォルニア・コネクション 」(「 熱中時代・刑事編 」主題歌 )を歌いました。

 

11月 『 がんばれ !! タブチくん!! 』公開

 

 

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 いしいひさいちの人気マンガのアニメ化 監督 芝山努

1979年は西武グループがライオンズを買収、福岡から所沢にフランチャイズ移動した西武ライオンズ1年目の年でした。

タブチくんとは阪神からトレードされた主砲の田淵幸一をモデルとしたキャラクター。 

声は西田敏行

 

山本氏がその後製作に携わった主な作品は

 

『 小説・吉田学校 』(1983) 監督 森谷司郎

 

                 小説吉田学校の画像・ジャケット写真

         

 

吉田茂 を演じたのは 森繫久彌。

 

『 宇宙からの帰還 』(1985 )

立花隆 原作・監修のドキュメンタリー。

 

『 MISHIMA 』(1985 ) 

自決事件にまで至る三島由紀夫の生涯が題材。 三島役は緒形拳。

 脚本・監督はポール・シュレイダー( 『 タクシー・ドライバー 』『 レイジングブル 』などの脚本 )

 共同脚本は兄のレナード・シュレイダー( 『 ザ・ヤクザ 』『 ションベン・ライダー 』の原作 『 太陽を盗んだ男 』の共同脚本 )とその妻チエコ・シュレイダー

 『 ションベン・ライダー 』の共同脚本 )

美術は石岡瑛子

 日米合作で、エグゼクティブ・プロデューサーはフランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカス

日本を舞台に日本人キャストが日本語で演じ、アメリカ側は出資だけじゃなく、アメリカン・ゾーエトロープとルーカス・フィルムが製作も行った。

 ただ日本未公開。 理由は三島夫人が反対し、右翼団体が抗議したからと言われる。

 テレビ放送やビデオ化DVD化も国内ではされていない。 僕がレンタルビデオで観たのは海外版(現在はネットで購入可能)。

 

 1993年 トライストーン・エンターテインメント社を設立

以降、山本氏が製作に携わった主な作品は、

 

『 あずみ 』シリーズ

 

                 あずみ

         

 

 

水島力也 名義で脚本も兼任。 ちなみに、原作者小山ゆうの元マネージャーでした。

 

『 クローズZERO 』シリーズ

                 クローズZEROの画像・ジャケット写真

         

 

            

『 TAJOMARU    』原作は黒澤明『 羅生門 』と同じ芥川龍之介「 藪の中 」

水島力也 名義で脚本も兼任。 

 

 

 

                TAJOMARUの画像・ジャケット写真

 

 

下の写真の一番右が山本又一朗氏

      

        

 

『 新宿スワン 』シリーズ

 

                新宿スワンの画像・ジャケット写真

         

 

 

トライストーン・エンターテインメント社がマネージメント契約しているのは、

綾野剛、田中圭、若村麻由美、木村文乃、杉本哲太、坂口健太郎、間宮祥太朗、赤楚英二、清塚信也 などの方々。

 

2023年創業30年で、山本氏は会長に就任

2代目社長となったのは。所属の看板俳優でもある小栗旬

 

 

 

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3 件の返信 (新着順)

山本又一郎は、当時ラジオなどに出て野心的なプロディユーサーでした。いまは小栗旬が率いる芸能事務所の会長です。
原作者の意向がでオール外国人俳優でつくるのが条件で、待望の映画化として当時、メディアによくとりあげられていました。
J・ドミーはもう過去の人で、昔の名前でした。奥さんが奮迅してましたが…
(奥さんによるJ・ドミーの映画がありました)
制作費はおつりがでて、スムーズに完了したと山本プロディユーサーは言ってました。
クライマックスの革命シーンがなく、そこは批判されましたな。
何よりもミッシェルクランの音楽が美しい~ テーマ曲を鳳蘭が歌ってました。
もちろん本編では使用外~


LOQ
2025/02/26 22:11

カリントウエストウッドさん コメントありがとうございます。

そうなんですね。 山本又一朗 野心的でしたね。 角川春樹の対抗馬としてメディアからもフィーチャーされてました。  鳳蘭も主題歌歌ってました。



レビュー広場でロキュータス名義のレビューにも書きましたが、本作のタイアップ資生堂に対抗してカネボウ化粧品が打ったCMが「 きみは薔薇より美しい 」でオリビア・ハッセ―を起用。
CMソングを布施明が歌い、お二人は結婚しましたね。

池田理代子の思い入れはわかりますが、ベルばらはフランスに仮託した日本女性の心情ですから、外国人が出演し監督しても、どうしても感覚がズレてしまいます。

たしかにジャック・ドゥミは当時すでに過去の人で、アニエス・ヴァルダの方が評価は高いですね。
近々レビューに書く予定ですが、『 シェルブールの雨傘 』は生理的に合わず2~3回トライしましたがいずれも途中で観るのをやめた作品で、最近ようやく観たところです。
だから僕の本作の印象もよくなかったのでしょう。
『 ロシュフォールの恋人たち 』は気に入ってトレビアンなので、勝手理屈なんですが。 (笑)

懐かしい情報ですね~資生堂とカネボウがCMでバチバチでしたね。
あの宣伝合戦でいろんなアーティストやタレントを生み出したんで文化に貢献した思います。
ベルサイユのばらはたしか、東宝の映画館で上映されたと記憶してます。これ日本映画なんですね~

かずぽん
2025/02/16 00:25

LOQさん。こんばんは。

『ベルサイユのばら』がジャック・ドゥミで実写映画化されていたこと、知りませんでした。
ちょっと興味あります。
今回は【私の好きな映画】としてのご紹介ですが、意外なラインナップですね。親近感が湧きます。(笑)
いつもはお堅いイメージの作品が多かったように思うので。


LOQ
2025/02/26 21:50

コメントいただいていたのに、しばらくこちらを除いていなくて、失礼しました。

好きな映画というわけでもないのですが (笑)
たしかに、いつも映画そのものより、かたいレビューが多いですね。 (笑)

椿五十郎 バッジ画像
2025/02/15 12:57

カトリオーナ・マッコール!!
のちのフルチ監督ホラー3部作のヒロイン!
素敵な女優さんでしたっ


LOQ
2025/02/15 15:26

椿五十郎さん コメントありがとうございます。

怖がりでホラーは観ない男なので、カトリオーナ・マッコールのそうしたヒロインぶりは
知りませんでした。
お教えいただき、ありがとうございます。