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私の好きな映画

tetsu8
2025/03/16 01:28

加藤剛の出演映画

今回からは、前回までの石立鉄男とは俳優座養成所の(卒業が)同期にあたる加藤剛である。
 

加藤剛は38年生まれ。本名は「ごう」ではなく「たけし」と読む。そのままだと加藤武と混同してしまうので「ごう」にしたと推測する(未確認)。七人兄弟の六番目(次男)で、姉4人と兄、弟がいる。その姉のうちの誰かの息子が植田峻(現うえだ峻)である。加藤とは違って三枚目であり、「造人間キカイダー」の服部半平役が有名だろうか。実年齢で5歳しか違わないが、加藤は叔父にあたるのだ。「大岡越前」の最終シリーズとなった第15部(98~99年)では、うえだもレギュラー出演している。
加藤剛と言えば「大岡越前」のイメージだが、本人も生真面目であり、酒、タバコ、ギャンブル一切やらず、怒って声を荒げることもないという、まさにイメージ通りの人物だったようだ。
高校時代は柔道部だったが、先輩に言われ演劇部を手伝ったのが芝居に興味を持ったきっかけだった。早大の演劇科に進み、4年の時に俳優座養成所に入所した。

62年、まだ養成所に在籍していたが、テレビドラマ人間の條件の主役に抜擢される。ドラマは2クールであったが、加藤は1年間休学した。大映テレビ室の製作だったが、加藤演じる梶の妻役には藤由紀子が選ばれた。藤は当時松竹に在籍していたが、本作への出演を強く望み松竹との間で揉めて松竹を退社する(当時19才)。フリーの形で人間の條件出演後に大映へ移籍。そこで田宮二郎と出会い結婚するのである。因みに、他の共演者は根上淳、中野誠也、石井竜一、三木裕子、北村和夫など。テレビドラマデータベースには出演者として大鶴義英という名があるが、これは唐十郎の本名である。当時は大学を卒業したばかりで、劇団青年芸術劇場に在籍していた頃と思われる。ゲスト出演と思われるが、DVDが発売されているようなので、確認できる人は探してみたらどうだろう。
加藤はドラマの後、養成所に復帰したので13期生として修了し、俳優座入りしている。つまり実際は12期生として入所したようである。

初の映画出演は63年の松竹死闘の伝説」で、木下恵介の監督、脚本である。あらすじを見るとホントに木下恵介なのか?というようなバイオレンス映画だ。太平洋戦争末期、北海道の寒村に疎開してきた園部家。祖母(毛利菊枝)、母(田中絹代)、長女(岩下志麻)、次男(松川勉)で、そこに長男(加藤剛)が戦場から帰還。そこに村長の息子(菅原文太)と岩下との縁談が起きる。加藤は文太の戦場での残虐行為を目撃していたため、その縁談を断った。すると村中の園部家への迫害が始まるが、猟師(加藤嘉)とその娘(加賀まりこ)だけは味方だった。ある日、岩下は文太に森の中で襲われる。そこに加賀が通りかかり、岩下を助けようとする。三人で揉みあう内に岩下が文太を撲殺してしまう。その死が伝わると村人は岩下を引き渡せと迫るが加賀が猟銃を構え寄せ付けない。加藤嘉が娘二人を山奥の小屋に逃がすと村人は暴徒と化し、毛利、松川、加藤嘉らが殺されてしまう。そこへ加藤剛が駆け付けるのだが…。というようなお話。
当時、岩下志麻は22歳、加賀まりこは20歳で松竹期待の若手スターだった。本作には岩下の父である野々村潔も出演している。松竹時代は不遇だった菅原文太だが、こういった役なら合っていたと思う。

64年の出演映画は松竹作品が2本。まずは有吉佐和子原作の「香華(こうげ)」である。脚本・監督は「死闘の伝説」と同じく木下惠介だ。上映時間3時間20分という大作である。舞台は明治から大正にかけて、主演は岡田茉莉子で当時31歳。彼女演じる朋子の少女時代から60代まで描かれるので、幼少期は子役の子が演じるだろうが、いつの時代から本人が演じたのだろうか(未見なので)。まあ女優が30過ぎて10代の女学生を演じることは珍しくはない。その母親役が当時40歳の乙羽信子。岡田と9歳しか違わないが、乙羽はどちらかというと老けて見えるタイプだと思う。岡田も若く見えるタイプではないけれども。さらにその母親、つまり岡田から見て祖母の役が田中絹代(当時54歳)である。岡田演じる朋子は17歳で芸者になり、やがて士官学校の学生である江崎(加藤剛)に出会いって恋に落ちる。多分、加藤の方が年上の役だと思うが当時26歳で、岡田より若い。結局、二人は結婚できず別れ加藤演じる江崎は奈良岡朋子と結婚。二人の間の息子役が田村正和と松川勉である。他の出演者は杉村春子、岡田英次、宇佐美淳也、菅原文太、長山藍子、三木のり平等である。香華って初めて聞いたタイトルだったが、映画化はこれ1回だが、テレビ化は過去に3度もされている作品だった。

もう1本は山本周五郎原作の「五瓣の椿ごべんのつばき)」。天保年間の江戸で連続殺人事件が起きる。現場には椿の花びらが落ちており、若く美しい娘が目撃されていた。というようなお話で、主演は岩下志麻。どうやら一人で五役を演じるようである。この事件を追う奉行所の与力が加藤剛である。他の出演者は早川保、左幸子、西村晃、伊藤雄之助、小沢昭一、田村高廣など。本作も映画化はこれ1回のようだが、テレビドラマ化は過去に3度されている。

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