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私の好きな映画

【実話】人種差別が引き起こしたおぞましい連続殺人事件

「これからは私のことをキングと呼びなさい」

 

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」 
2023年公開 206分 
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:エリック・ロス
原作:デヴィッド・グラン
キャスト:レオナルド・ディカプリオ
   ロバート・デ・ニーロ
   リリー・グラッドストーン

 


「連続殺人事件」を描いたフィクション映画だと、犯人やトリックを予想しながら観たり、
犯人の動機にドラマがあったりなど、楽しむ要素が沢山詰まってますよね

 

しかし、それが本当に起こった事件だったら?

 

楽しさなんてものはおろか、恐怖や怒り、さらには色んな疑問が湧いてくるかと思います

 

今回は、10月20日に公開がはじまったばかりの最新作で、
アメリカで実際に起こった「インディアン連続怪死事件」を描いた
ノンフィクション超大作「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」ネタバレなしでご紹介します


なぜインディアンが狙われたのか?

 

1920年代、オクラホマ州オーセージ群で、大量の石油が発掘

 

そのため、現地で暮らしていたインディアン(オーセージ族)は莫大な富を獲得したそうです

 

しかしそれをよく思わなかった白人たちは、オーセージ族の財産を横取りしようと試みます

 

一族のお金は全て、白人が彼らの後見人として管理をすることとし、
お金をおろす際にも、後見人の許可が必要というルールに変更

 

さらには、オーセージ族と婚姻した白人にも、財産の権利が相続されることに

 

この決まりごとが引き金となり、彼らの財産を狙った政略結婚や、殺人事件が多発

 

オーセージ族の変死体が見つかっても、白人権力者たちの手によって、捜査されることもなく
うやむやにされていたことから、「インディアン連続“怪死”事件」という名前で呼ばれているんだそうです

 

レオナルド・ディカプリオはどんな役?

 

ディカプリオが演じたのは、殺人事件にあらゆる形で加担した
主人公アーネストという男性ですが、

 

元々の本作の主人公は、事件の真相を追求するトム・ホワイトという特別捜査官で、
本来その役を演じる予定だったそうです

 

しかし

 

「(白人によってオーセージ族が犠牲になった事件なのに)
白人捜査官が”英雄”として事件を解いていく物語になっては意味がない

 

とのディカプリオの強い意向で、
主役を事件の加害者であり、オーセージ族と密接な関係を築いた白人男性アーネストへと変更

 

そもそも本作は、ディカプリオ自ら率いるチームが、
「アメリカの歴史で忘れ去られてしまった、人種差別による残虐な事件」を風化させまいと立ち上がり、スコセッシ監督の元へ企画を持ち込み、実現したと映画とのこと

 

物語が進んでいくごとに、眉間のシワがどんどん深くなっていくディカプリオの表情と
血流の速さが変わったことまでも感じさせる演じっぷりには、緊張感と熱感が凄まじく、
206分という長尺ながらも、集中力が途切れず夢中で観ることができたのは
彼のこの作品に込めた想いの強さが、演技を通してスクリーン越しに強烈に伝わってきたからというのが大きな理由の一つだと感じています


🐈ここミロポイント🐾

 

主人公アーネストを演じたディカプリオはもちろん、彼の叔父役であるロバート・デ・ニーロ
そして、オーセージ族の女性を演じたリリー・グラッドストーン演技に釘付けになりました

 

権力を持ち、あらゆるものを手に入れていく叔父の、穏やかな笑顔の裏に感じる静かな怖さ

 

家族を大事に想い、芯の強さと賢さを備えた魅力的なオーセージ族の女性の気品のある美しさ

 

物語の進み方や、多くを説明せずとも意味をこちらに伝えてくる描き方の秀逸さはさることながら、
映画を振り返ってみて、一番に思い浮かんでくるのはこの3人の迫力のある演技でした


個人的におすすめ映画かどうか、に関しては「すごく良いから観て!」というよりは、
「これから生きる上で知っておくべき内容」といった感じの方が正直強いです

 

しかし、先ほども前述したとおり、206分飽きることなく本当に夢中で観ていました

 

体感的にもしっかり長かったですが、退屈だとか、まのび感などを感じることは

私は一切ありませんでした


最後に
殺人の描写から読み取った、この事件自体の存在感

 

連続殺人を描いた事件ということで、次々と人が亡くなっていくシーンがあるのは不可欠なんですが、
特にそこで私が印象に残ったのは、殺人描写がとても“あっさり”していたということ

 

本当にやたらとあっけない

 

まるで、「この事件が白人たちにより、これだけ“あっさり”片づけられ、闇に葬られた」といってるかのようでした

 

本国アメリカでも、知らない人が多いと言われている

「人種差別を発端に起きてしまったインディアン連続怪死事件」

 

「事件を風化させまい」という制作陣の熱意が込められた
「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」は、現在絶賛公開中

 

 

ミロシネマ🐾

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