坂口祐三郎(牧口徹)の出演映画
今回からは「仮面の忍者赤影」で知られる坂口祐三郎である。
坂口は41年福岡生まれで本名は中村徹という。ちなみに仲村トオルの本名は中村亨だ。父親の顔は知らず、母には4歳で捨てられ、祖父方で育ったという。
高校二年の時、第7期東映ニューフェイスに応募。と言っても本人が応募したわけではない。校内に彼のファンクラブが存在しており、その中の同級生の女生徒(私設親衛隊長)が勝手に応募したのである。本人は俳優になる気など全くなかったのだが、書類選考に合格し、面接の通知が来たのである。
軽い気持ちで初上京し、東映本社を訪れたところ、演技課長から「君は大丈夫だから」と太鼓判を押されたという。数日後に当時の大川博社長による最終面接が行われた。「仮に合格したら来るのかい」の問いに「まだ学校が残っているので来年でないとこれません」と答えたという。高校を卒業するのが当たり前だと思っていたからで、さらに「良かったら、次の期に入れてください」とまで言い放った。周囲は騒然としていたが、大川社長は平然と「分かった。勉強は大事だからね!」と返してきた。こうして、第7期で受けながら、第8期としての入社が決定したのである。ちなみに、7期の合格者は宮園純子、三沢あけみ、結城美栄子、三島ゆり子など名が知れているのは女性ばかりである。
高校を卒業した61年、東映に入社。同期は小川守、嶋田景一郎、愛川かほる等。藤江リカ(五十嵐藤江)も同期のはずだが、当時の「東映の友」に発表された合格者にその名はない。
デビュー作となるのが「新諸国物語 黄金孔雀城」の第二部である。主演は沢村訥升、山城新伍、河原崎長一郎、伏見扇太郎、里見浩太朗など。少年向け時代劇だが、当時は1部1時間前後の話を3~4部くらいに分けて上映するのが主流で、本作も4部構成である。61年4月の公開なので、入社してまもなくの出演ということになるのだろうか。当時の芸名は牧口徹で、二郎太という役だ。ちなみに一郎太から十一郎太までおり、知らない役者が並んでいるが大城泰(七郎太)や大月正太郎(十郎太)辺りは個人的には知っている。大城は「赤影」で敵忍者(悪童子、夜目蟲斎)を演じたりしている大部屋役者だ。第2部から完結編まで出演するようだ。
続いて「新黄金孔雀城 七人の騎士」(61年)である。こちらは三部作で、前述の「黄金孔雀城」の姉妹編だ。タイトル通り七人の騎士が登場するが、演じるのが里見浩太郎、山城新伍、河原崎長一郎、沢村訥升までは前作と同じ顔ぶれ。しかし、演じるのはそれぞれ別人であり、本作は里見が主演扱いだ。残る三人が山波新太郎、国一太郎そして坂口こと牧口徹である。彼が演じる焔丸はその七人目として登場するのだ。国一太郎は専ら悪役のイメージで、こういったメインどころは珍しい気がする。時代劇専門かと思いきや70年代は「仁義なき戦い」シリーズなどヤクザ映画への出演が多くなっている。
坂口の牧口徹時代はほとんど語られることはないが、64年まで続くのである。
東映は60年に第二東映(61年にニュー東映に改称)を発足させた為、役者もスタッフも数が必要となっていたわけだが、結果は失敗に終わりニュー東映は東映本社に吸収される形で消滅した。
結局元に戻り、人は増やしたが製作本数は減るので、それが原因かどうかは定かでないが、62年は牧口徹にそれほど大きな役は廻ってこなかった。
「越後獅子祭り」は松方弘樹が主演の時代劇。共演は丘さとみ、北沢典子、進藤英太郎、上田吉二郎に加えて志村喬、千秋実の「七人の侍」コンビなど。牧口は「文七」という役だが、詳細は不明だ。
「ひばりの花笠道中」は美空ひばり、里見浩太朗主演の時代劇。ひばりの実弟である花房錦一と何故かひばりが二役で弟の役を演じている。他に近衛十四郎、原建策、西崎みち子など。里見は寛太と名乗る素浪人だが、正体は行方不明の浜松藩の若君・松千代で、牧口はその弟である梅千代の役だ。
この他、いずれも中村錦之助の主演である「瞼の母」「源氏九郎颯爽記 秘剣揚羽の蝶」「宮本武蔵 般若坂の死闘」にもエキストラ的に出演しているらしい。「源氏九郎~」では錦之助の吹き替えスタントを務めたとのことである。
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投稿を表示赤影のイメージが強すぎてその呪縛から脱却できなかった方ですよね・・。
ちょっと端正すぎるお顔も影響したかもですね。
でも、ご紹介いただいている作品のようにいろいろ出られてらっしゃるんですね!知りませんでしたっ
この先ご紹介される作品が楽しみです!自分もご紹介いただいた作品を振り返って坂口さん意識してみてみようと思います