速水亮(炎三四郎)の出演映画
次は誰にするか悩んだのだが、「仮面ライダーX」の速水亮にした。まあ大映ニューフェイス出身で篠田三郎の時とだぶる部分もあるかもしれないが、そこは広い目で。
速水亮は49年生まれ。本名は越坂部茂、千葉の高校を素行不良で2年で退学。69年、上京して駆け出しの女優という女性と知り合ったことをきっかけに大映ニューフェイスに応募して合格。最後の期となった20期生となった。同期には八並映子、中野良子、京都6期として採用された伊吹剛などがいた。中野良子は卒業公演の1か月前になって辞めてしまったという。
芸名はある日、永田秀雅副社長により「炎三四郎」と名付けられた。学生時代に柔道をやっていたという経歴もあって付けられたものだったが、本人としては非常に不服なものであった。立場的に逆らえるはずもなかったが、俳優になるのを辞めたくなるほど嫌だったそうだ。
69年10月に正式契約し、炎三四郎として翌月の「あゝ陸軍隼戦闘隊」でデビューを飾った。主演は佐藤允、本郷功次郎で、他に宇津井健、藤巻潤、藤村志保、峰岸徹(当時は隆之介)、平泉成(当時は征)、島田正吾、藤田進といった中々豪華なメンバー。速水の役柄は通信将校でセリフも意外にあったという。
同月に「女賭博師花の切り札」も公開。主演は江波杏子、天知茂で、他に船越英二、津川雅彦、成田三樹夫など。速水の役柄は成田演じる兼松の子分というもので、同じ役柄の篠田三郎はクレジットされているが、速水はノンクレジットであった。ただ、本作はノンクレジットが20人近くいたようだ。
もう1本あり、渥美マリ、川崎敬三主演の「あなた好みの」である。他に伴淳三郎、奥村チヨ、鳳啓助、京唄子、関敬六など。速水はチョイ役のようだが、同期の八波映子や成瀬亜紀子と共にクレジットされている。いきなりジャンルの異なる3作品に顔を出していたのである。
70年に渥美マリ主演の「続・いそぎんちゃく」に出演するが、ここでは六番目に(新人)付でクレジットされている。初のメインキャストと言えるだろう。渥美、有島一郎、田中邦衛、森川信、平泉征の次である。中条静夫や高原駿雄、酒井修などより前である。渥美と富士急のスケートリンクで知り合う金持ちの大学生という役である。
続いて「ガメラ対大魔獣ジャイガー」だが、ここでは実質的に主演に抜擢されている。実質的と書いたのはクレジットの一枚目は高桑勉、ケリー・バリス、キャサリン・マーフィになっており、誰やねんという感じだが、いずれも子役である。しかもケリーやキャサリンはアメリカンスクールに通っていた全くの素人だったそうな。その次が速水で大村崑、八代順子が並んでいた。平泉征、仲村隆なども出演しているが、知名度の高い役者は少ない。高田宗彦、蛍雪太朗、チコ・ローランド、フランツ・グルーバル辺りが知られているかも。高田は「少年ジェット」の怪盗ブラック・デビル役で知られる。スコットランド人とのハーフなので外国人パイロット役である。ちなみに、娘は松本留美だ。
70年と言えば大阪万博だが、本作も万博が舞台だ。ただ特にタイアップだったわけではないようだ。
この後エキストラの仕事を2本続けて断ったら、半年以上干されてしまったという記述もあったが、出演作はコンスタントに公開されている。ただ、役の方は少しメインから外れた感じになっている。この際に芸名が嫌だったこともあって、他の仲間とと共に辞意を伝えたが、速水のみ遺留されたそうだ。
5月に公開されたのが「太陽は見た」である。実はこの作品から大映は日活と提携し、配給がダイニチ映配となっている。つまり大映と日活作品の二本立てが行われたのである。
主演は渥美マリで、共演が峰岸隆之介(後に徹)と伊藤雄之助、内田朝雄、名古屋章、篠田三郎など。速水の役は名古屋明の部下である永井刑事。本作で共演の成瀬亜紀子、川内悦子、別府正英はニューフェイスの同期である。別府は市川雷蔵の紹介だったそうだ。