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私の好きな映画

tetsu8
2024/09/05 14:01

本郷功次郎の出演映画 その3

引き続き本郷功次郎だが、今更だが映画スターとして活躍していたので大映時代だけでも約90本の映画に出演しているのだ。細かく取り上げすぎると20回でも終わらないと思うので、(個人的に)気になった作品のみ挙げていく。
 

停年退職(63年)は、停年退職を1カ月後に控えたサラリーマン(船越英二)を描いた物語でなので、船越が主役なのだろうが、クレジット上は本郷がトップの位置であり、藤由紀子が(新スター)付で二番手、そして船越となっているようだ。ちなみに当時は55歳停年である。他に中田康子、江波杏子、伊藤雄之助、そして倉石功も(新スター)付で出演している。藤由紀子のデビューは松竹であり、1年余りで大映に移ってきた形だ。藤はこれが大映第1作で、倉石はこれがデビュー作となる。
 

視界ゼロの脱出」(63年)は、タイムリミットまでに鹿児島から奄美大島に血清?を届けるセスナ機パイロットが本郷で、同乗する看護婦が三条江梨子(三条魔子)。途中そばにあるサソリ島からの緊急通信で着陸するが、そこにはニセ札ギャング団が待ち受けていたというストーリー。「ザ・ガードマン」に似たような話があった気がする。ギャングのボスが中田康子でその部下に高松英郎、大辻伺郎など。

 

ぐれん隊純情派(63年)も本郷、三条がトップクレジット。チンピラである本郷の父親は旅役者の一座の座長。その父が死に本郷が一座を継ぐことになるが、兄貴分の藤巻潤千波丈太郎はこの一座を売り払おうと企む。しかし二人も芝居にのめり込んで行くというような話だ。他に大辻伺郎、弓恵子、ミヤコ蝶々、中村鴈治郎など。千波に(新スター)が付いている。

千波は60年に新東宝でデビューし、61年は日活(鹿島貞夫名義)、そして62年末から大映に所属している。工藤堅太郎がノンクレジットで出演しているらしいが、この時期大映と専属契約を結んでいたとのこと。
 

犯罪作戦No.1は、クビになった元警視庁の刑事(田宮二郎)が、本郷功次郎、藤巻潤、待田京介を仲間に、安部徹や山本礼三郎扮する悪人たちに復讐するというような話だ。本郷より先輩である藤巻もようやく主演級に上がってきている。暗黒街No.1」「海底犯罪No.1という作品もあるが、内容につながりはない。いずれもアクションドラマで、「暗黒街」「海底犯罪」の主演は宇津井健だ。
 

巨人大隈重信(63年)はタイトル通り大隈重信の伝記もの。大隈役は宇津井健で、本郷功次郎(渋沢栄一)、藤巻潤(井上馨)、船越英二(福沢諭吉)、高松英郎(山県有朋)、千波丈太郎(犬養毅)、内藤武敏(伊藤博文)、佐々木孝丸(大久保利通)、小池朝雄(黒田清隆)などが偉人に扮する。
 

桃太郎侍(63年)と言えば、高橋英樹のイメージが付いてしまったが、大映版の桃太郎は本郷である。他に高田美和、久保菜穂子、城健三朗(若山富三郎)など。

 

元々柔道スターとしてスカウトされながら、デビュー作以来柔道作品から遠ざかっていた(製作されなかった)本郷だったが、再びブームが訪れたのか①近世名勝負物語 花の講道館(63年)、②「日本名勝負物語 講道館の鷲(64年)、③「柔道名勝負物語 必殺一本(64年)と立て続けに主演に起用された。三本ともヒロインは高田美和で、往年のスター高田浩吉の娘だ。62年、まだ高校1年の時に大映入りしている。父の高田浩吉は松竹のスターで60年代に入ってからは東映にいたので、大映とは縁が薄かった。 本郷演じる主人公はそれぞれ別人なので(②は姿三四郎)、当然高田も別人の役である。①②には城健三朗こと若山富三郎が出演している。62年に東映から弟・勝新のいる大映に移籍してきたが、芸名を変更させられた上、ほぼ脇役に甘んじている。②には山下洵一郎が本郷の弟役で出演。山下も63年に松竹から移籍してきている。
 

外人墓地の決闘(64年)は、前述の三本とは違ってタイトルに「名勝負物語」が付いていないが、これも柔道物で本郷が主役だ。本作でのヒロインは藤村志保で、主題歌を三波春夫が歌っている。三波本人も顔を出しているようだ。③と④はいずれもラスボスとして戦うのは五味龍太郎である。五味も元々は東映ニューフェイスで、63年から大映に移籍している。

 

雲を呼ぶ講道館(65年)はタイトルに講道館と付いていることからわかると思うが、これも本郷主演の柔道物だ。共演が宇津井健、姿美千子、成田三樹夫、長谷川待子、藤巻潤など。なお、藤巻は②を除いて、全て準主役的に出演している。姿美千子は女三四郎のような芸名だが、橋幸夫の「すっとび仁義」の相手役として公募で選ばれた女優であり、柔道物への出演はほとんどない。妹は日活女優の橘和子で共に読売ジャイアンツの投手(倉田誠、高橋一三)と結婚している。

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