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tetsu8
2024/04/24 13:56

黒部進の出演映画 その3

引き続き黒部進である。
 

66年に入り最初の映画は「暴れ豪右衛門」。三船敏郎主演の時代劇である。東宝で三船の主演とくれば、黒澤映画のイメージが強いが、本作の監督は稲垣浩。東宝版の「宮本武蔵」や「無法松の一生」など稲垣監督で三船を主演とした作品は結構あるのだ。三船はタイトルにある農民の郎党である加賀七党の首領・豪右衛門を演じる。その妻が乙羽信子で、弟が佐藤允と田村亮、他に大空真弓、星由里子、西村晃、平田昭彦、加東大介などで、黒部は神保十郎という役。未見なのでその役柄はわからないけれども。本作は田村亮の映画デビュー作。本人は役者でやっていくつもりではなかった為、芸名を稲垣に付けてもらった(本名・田村幸照)という。
 

黒部に戻るが、続いては「狸の王様」。裸(はだか)ではない狸(たぬき)である。狸シリーズの3作目で、監督は黒部をスカウトした山本嘉次郎である。小林桂樹主演のコメディ作品で、小林が演じるのは車上あらし。つまり窃盗犯である。他に草笛光子、伴淳三郎、団令子、藤木悠、高橋紀子などで、黒部は鹿島という役。これも未見なので詳細は不明だ。黒部が山本作品に出演するのは本作が最初で最後である。次作の「狸の休日」が山本の最終監督作品になってしまったからである。なお、シリーズ3作目の本作までは小林が主演だが、「狸の休日」は高島忠夫の主演となっている。
 

奇厳城の冒険」は山本門下生である谷口千吉が監督する冒険映画。黒部には2本目の谷口映画だ。本作は太宰治の「走れメロス」を原案としている。主演は三船敏郎で、他に中丸忠雄、有島一郎、三橋達也、白川由美、平田昭彦、佐藤允、若林映子、黒沢年男、田崎潤、浜美枝、桜井浩子などが出演している。黒部は「武官長」という役で、まあメインキャストではないだろう。なお本作は三船プロダクションが製作として東宝と併記されている。

とまあ、脇役続きの66年であったが、ここで転機が訪れる。そう「ウルトラマン」の主役抜擢である。
実はここまでで黒部が出演した特撮作品は「三大怪獣地球最大の決戦」の一本だけで、イメージと違ってあまり縁のないジャンルだったのである。円谷が絡む戦争映画への出演はあったけれども。当時はそういう番組がなかったこともあり、主役とはいえ、あまりやりたくなかったという。フジ隊員の桜井浩子は「ウルトラQ」からの流れで、イデ隊員の二瓶正也は石川進降板による急遽の抜擢。彼も「ウルトラQ」に三度ゲスト出演していたところからの流れであり、東宝特撮映画の出演は少なかったのである。
66年の後半から67年前半は「ウルトラマン」に終始したようで、映画への出演はない。

 

67年7月に公開されたのが「ウルトラマン 長編怪獣映画」で、これはテレビ版の再編集なので、必然的に黒部が主演ということになる。当時はカラーテレビの普及率が低かったこともあり「カラーでウルトラマンを見よう」と宣伝では煽っていた。
 

その同時上映は「キングコングの逆襲」で、主演は宝田明、浜美枝。他に天本英世、田島義文、堺左千夫などで、黒部は天本演じるドクター・フーの部下という役で登場。サービス的な出演かもしれないが、もう少しいい役でもと思ってしまう。浜美枝の役名はマダム・ピラニアだ。

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