西郷輝彦の出演映画 その2
引き続き、西郷輝彦である。

66年の西郷は日活作品が続く。「この虹の消える時にも」も同様に西郷のシングルタイトルでもあり、本作の主題歌でもある。挿入歌の「星娘」の方が有名ではないだろうか。西郷はメンズウェアの店で働いているが、前に働いていたクリーニング店において過失で店主を死なせていまい少年院に入っていた過去がある。
その少年院仲間が荒木一郎で、出所してもチンピラである。松原智恵子が盲目のヒロインで、他に山内賢、山本陽子、東山明美、深江章喜、玉川伊佐男、大滝秀治など。前述の二作では西郷のクレジットに付いていた(クラウン)がなく、代わりに東山明美に付いている。ちなみに東山の役名は飯島真理だ。
「涙になりたい」も今までと同様。当時の人気歌手は月1枚のペースでレコードを出していたのである。本作はアクションではなく、家族関係ドラマとでも言うのだろうか。共演は松原智恵子、山本陽子、芦田伸介、大塚国夫、奈良岡朋子、丹阿弥谷津子、西本雄司、伊藤寿章(澤村昌之助)などで、市村正親が西本の仲間の不良学生役で出演しているらしい。当時17歳の高校生だが、出演の経緯は不明。プロフィールにはないが、児童劇団にでも入っていたのだろうか。

「遥かなる慕情 星のフラメンコ」。西郷の曲では、最も有名ではないかと思われるのが「星のフラメンコ」だが、恋愛ものではなく、西郷が台湾から日本に帰ることが出来なかった母親の生涯を巡る話。実際に台湾でロケをしたようで、向こうの役者も多く出演している。藍芳とクレジットされている台湾人姉妹の妹役の人は後の光川環世である。実際に台湾の生まれで、5歳の時に日本に移住し、小学生の頃から子役として活動。当時は井上清子を芸名にしていたはずだが、台湾で公開される映画では藍芳や李玲香といった中国名を名乗っていた。光川環世を名乗るのは70年代になってから。共演は松原智恵子、川地民夫などで、ノンクレジットで奈良岡朋子が母親役で声のみ出演しているらしい。

66年は、やはり日活でもう1本あり、「傷だらけの天使」である。「傷だらけの天使」というと、どうしてもショーケンと水谷豊のコンビを思い出してしまうが、そのドラマとは何の関係もない。天使は「エンジェル」と読むのだ。これも西郷のシングルのタイトルであり、本作の主題歌でもある。ちなみに作詞・我修院建吾、作曲・銀川晶子となっているが、これはどちらも西郷のペンネームである。つまあり自作の歌なのだ。我修院健吾名義で「明星」に同タイトルで西郷の自伝が連載されており、その映画化ともいえるようだ。
主演はもちろん西郷で、ヒロインは松原智恵子。日活ではほぼ西郷の相手は松原であった。共演は荒木道子、永田靖、楠田薫、五月女マリ、塚本信夫、草薙幸二郎、高須賀夫至子などで、あまり若いキャストはいなかったりする。

67年は、何故か映画出演は1本のみ。日活の「恋人をさがそう」である。今までと同様のスタイルで、シングルタイトルでもあり主題歌でもある。西郷は予備校生(早稲田学院)で、毎日新聞社でバイトをしているというとても具体的な設定。共演はやはり松原智恵子、和田浩治、五月女マリ、浜田寅彦、奈良岡朋子、花沢徳衛などだが、注目は梓英子。後の「どてらい男」(73~78年)で、その妻役を演じることになる梓とここで初共演しているのである。ちなみに、この後大映と契約するので、日活作品を本作と「不死身なあいつ」くらいしか出演していない。そして、もう一人は新聞記者役の吉田豊明。東映のニューフェイスであり、この時代も東映に在籍していたはずだが、何故か本作に出演。どうやら日活は本作だけのようである。ただ、東映ではほぼテレビ出演であり、映画にはほとんど出演していないようである。代表作はやはり「特別機動捜査隊」の石原刑事役で、番組後期の主役である青木義朗(三船主任)と同じ回から初登場。ラストまでほぼ8年間出演している。

68年は東映の「あゝ予科練」。久々の東映出演である。主演は鶴田浩二で、予科練生を演じるのが西郷の他、谷隼人、太田博之、長沢純、宮土尚治(桜木健一)などで、みんな坊主頭にして撮影に臨んだ。西郷は約40日間、他の仕事を入れないで本作に専念していたという。共演は丹波哲郎、千葉真一、山城新伍、梅宮辰夫、大原麗子、藤純子、伴淳三郎、伊丹十三、池部良など、何気に豪華キャストなのだが、作品の評判はあまり芳しいものではなかったようだ。
もう一本は松竹の「釧路の夜」。井上梅次監督によるアクション映画で主演は栗塚旭。栗塚と言えば、当時既に栗塚=土方歳三のイメージがあるくらいに時代劇の人という印象が強いが、松竹の映画ではこうした現代劇にも数本出演している。ちなみに本作での役名は矢吹丈ではなく矢吹丈二だったりする。共演は城野ゆき、美川憲一で、タイトルの「釧路の夜」は美川のシングルのタイトルでヒットもしている。美川はここでも歌手の役だが、実は大映ニューフェイスに合格していたという経歴がある。本作はクラウンレコードが制作に関わっており、そのエース格である西郷が本人の役で出演している。他に朝丘雪路、小林勝彦、渡辺文雄、今井健二などが出演しているが、松竹作品でありながら城野、今井は東映、小林は大映と一見するとどこの映画だかわからない。最後に豆知識を一つ。釧路市の隣には釧路町があり、別々の自治体である。
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投稿を表示西郷さん若いなぁ〜☺️