懐かしき1960年代の映画「ヨーロッパ編」
懐かしき1960年代の映画「アメリカ編」に続き、今回は「ヨーロッパ編」です。
60年代当時、フランスでは衝撃的な作品が次々に登場した。 その象徴的な映画が、ジャン・リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」であり、フランソワ・トリュフォーの「突然炎のごとく」であろう。 伝統的な映画手法や撮影技術にとらわれることなく、斬新で野心的なスタイルの映像にこだわった作品群は、ヌーヴァル・バーグと呼ばれた。 下記の作品すべてがヌーヴェル・バーグではないが、当時の代表的な名画を挙げてみたい。
「勝手にしやがれ」(60年・フランス) 監督ジャン・リュック・ゴダール
全編を通して実際に街頭で撮影が行われ、その斬新な映像と編集スタイルに驚かされる。 ジャン=ポール・ベルモンドは本作でスターの座を獲得し、ジーン・セバーグの ‘セシルカット’ が話題をさらった。
「男と女」(66年・フランス) 監督クロード・ルルーシュ
世界中の観客を魅了したラヴ・ストーリー。60年代作品として本作は外せない。 フランシス・レイ作曲の甘美なボサノバ調のメロディーは、映画音楽の名曲として永遠に残るだろう。 アヌーク・エーメ、ジャン・ルイ・トランティニャンの競演。カンヌ映画祭グランプリ。
「突然炎のごとく」(62年・フランス) 監督フランソワ・トリュフォー
トリュフォーもヌーヴェル・バーグの中心的存在で、彼の繊細な感性がみてとれる。 自由奔放で、コケティッシュなジャンヌ・モローの魅力が全編余すところなく表現されている。
「召使」(63年・イギリス) 監督ジョセフ・ロージー
イギリスからは、貴族の斜陽を描いたスキャンダラスなサスペンス・ドラマの登場。 召使の男にすべてを任せたため、破滅の道へと向かうことになる貴族の男を描いている。 召使役をダーク・ボガートが好演、ジャズの使われ方もいい。
「8.1/2」(63年・イタリア) 監督フェデリコ・フェリーニ
本作はフェリーニ監督の自伝的映画。精神と肉体の疲れを癒すために温泉に出かけた映画監督グイドは、そこで幻覚を見始める。グイドをマルチェロ・マストロヤンニが演じている。 アカデミー賞では外国語映画賞を受賞、モスクワ映画祭ではグランプリに輝いた。
「太陽がいっぱい」(60年・フランス・イタリア) 監督ルネ・クレマン
思わず固唾をのむラストのどんでん返しが強烈。二枚目俳優アラン・ドロンが陰影のある悪人を演じ、世界的な人気を得た名作。ニーノ・ロータの哀切極まりないテーマ曲も効果的だ。
「Z」(69年・フランス、アルジェリア) 監督コスタ・ガブラス
実際にあったギリシャの左翼政治家暗殺事件をテーマに、軍事政権の恐怖を描いた問題作。
ギリシャでは上映禁止となったが、アカデミー賞では外国語映画賞を受賞するなど、数々の賞を受賞した。イヴ・モンタン主演、イレーネ・パパス共演。
代表的な作品としては、ほかにも「冒険者たち」(67年・フランス)、「夕陽のガンマン」(65年・イタリア、スペイン)、「若者のすべて」(60年・フランス、イタリア)、「雨の訪問者」(68年・フランス)等、甲乙つけ難い名作、傑作が目白押し。
これらの作品については、今後、単年度毎の名作選のなかで触れていきたい。
次回は、懐かしき1960年代の映画「日本編」です。