私の好きな映画

LOQ
2025/12/19 15:28

12月20日 没後28年  伊丹十三 監督になってから

 

監督第1作『 お葬式 』以降、伊丹十三は全作品の製作資金は自身と盟友・一六本舗の玉置泰の出資で自己調達してきました。

いわゆる製作委員会方式やスポンサーに頼らなかった。

作品を自身でコントロールし口出しさせないためでした。

『 静かな生活 』以外はエンタメ色が強いのも、興行面での成功が不可欠だったためでしょう。

 

 

             

 

 

 

 

「 『お葬式』日記 」は映画のメイキング本の嚆矢と言え、「 『 マルサの女 』日記 』「 大病人の大現場 」と続く。

 

メイキング映像も『 タンポポ 』に始まり「 『 あげまん 』可愛い女の演出術 」( 構成・演出はテレビマンユニオンの浦谷年良)、「 『 マルサの女2 』をマルサする 」( 構成・演出は周防正行 )などでDVD化もされた。

 

 

 

『 タンポポ 』はアメリカでも公開。 批評家にも評価され、ニューヨークでは単館上映ながら、単館あたりの興行成績は『 ビバリーヒルズ・コッブ2 』に次いで2位。

その後ロスやシカゴでも公開、その年アメリカで公開の邦画の興行成績2位。

 

アメリカ進出の話もありました。

ビバリーヒルズにイタミ・フィルムズの事務所を設置、『 マルサの女 』米国版を宮本信子主演 ウォルター・ヒルを監督で模索しましたが、企画は流れました。

『 ゴジラ 』や『 Shall We Dance ? 』 のようにアメリカに企画を売れば実現でしょうが、あくまで自分でコントロールしたかったのでしょうか。

 

 

監督作品は10本ですが、番外として製作総指揮と出演もした『 スウィート・ホーム 』があります。  

伊丹十三には旧態依然としていた日本のSFX( たとえば時代劇でかつらと丸わかりの扮装 )に強い問題意識が長年ありました。

独学で研究していて、大河ドラマ『 峠の群像 』で吉良上野介の特殊メイクで実践して見せていました。

 

この作品ではハリウッドから特殊メイクの第一人者ディック・スミスを招聘。いっしょにテレビに出てプロモーションを行いました。

参加した日本人スタッフの中には江川悦子や佐和一弘(のちにオスカー2度のカズ・ヒロ )や白組の山崎貴らの若き姿もあり、日本の特殊撮影の歴史に残る作品。

 

 

 

ただ本作は脚本・監督の黒沢清との訴訟問題があって現在観ることが困難です。

伊丹十三と黒沢清は共に蓮實重彦に師事して同門と言える間柄。

ピンク映画でデビューした黒沢清の第二作で一般公開の『 ドレミファ娘の血は騒ぐ 』に伊丹十三は出演し、『 お葬式 』 には黒沢清は助監督役で姿を見せている。

蓮實重彦が『 お葬式 』を酷評して関係が壊れた後も本作で起用したし、撮影中発言が生意気だという山城新伍をとりなしていた伊丹十三でしたが。

 

 

 

ビデオ化にあたっての追加報酬と編集が著作者人格権の侵害を争点に黒沢清が提訴、伊丹プロ側が勝訴しましたが、その後DVD化や放映はされていません。

伊丹十三の遺志か黒沢清への配慮か理由はわかりません。

ただ映画についてよく言われることで言うと、「 映画は半分は作り手のものですが、半分は観客のもの。」

当時者それぞれの思いはあるでしょうが、このまま封印していい作品ではないと思います。

ネガが残ってるならディレクターカット版を編集するとか、コメンタリーで自分の思いを伝えるとか、難しいでしょうが、ふたたび世にだしてほしいと思う次第です。

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