ある映画に対して、それに異論を呈する映画
物言い映画について その1
ある映画に対して、それに異論を呈する映画
ある映画に対して、それに異論を呈するモチベーションでつくられた映画がありますね。
そういう映画を一般にどう呼ぶかわからないので「 アンチテーゼ映画 」「 反論映画 」でもいいのですが、僕個人は「 物言い映画 」と呼んでいます。
すでにレビューで何度か書いてきたことですが、DISCOVER USのコラムでも改めて取り上げます。
どういう作品があるかというと
例 その1
物言いされた側は
『 突入せよ ! 「あさま山荘」事件 』( 2002年公開 脚本・監督 原田眞人 )
1972年に起きた連合赤軍による あさま山荘事件を警察側から描いた作品で、
原作は指揮を執った元・警察庁の佐々淳行。
この作品に物言いした作品は
『 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 』
( 脚本・監督 若松孝二 共同脚本 掛川正幸 大友麻子
若松孝二は『 突入せよ ! 「 あさま山荘 」事件 』が権力側から描かれ、主人公の佐々淳行役を役所広司が演じたことに「 ふざけるな 」と憤慨して映画化を決意したと公言しています。
ただ題材の難しさと資金難から企画は難航。
制作資金はカンパの他、自宅を抵当に入れ、自身の別荘を解体に至るまでロケに使って撮影。
『 突入せよ ! 「 あさま山荘 」事件 』の5年後、2007年公開。
例 その2
物言いされた側は
『 トップガン 』( 1986年公開
監督 トニー・スコット
脚本 ジム・キャッシュ ジャック・エップス・ジュニア
アメリカ海軍艦上機パイロットを描いた、みなさんご存じのメガヒット作で、
トム・クルーズがトップスターの地位を確立し、メグ・ライアン、ティム・ロビンスらが注目されました。
大人気の一方で公開当時から、「 タカ派レーガン政権下のMTV世代に向けたリクルート映画 」などの批判の声も多かった。
その一人がオリバー・ストーンでアメリカのメディアでだけでなく、来日時の講演でも舌鋒鋭く酷評していました。
3年後に作られたのが、
『 7月4日に生まれて 』( 1989年公開 監督 オリバー・ストーン )
彼のベトナム戦争三部作・第二弾。
傷病兵ロン・コービックの自伝的小説( オリバー・ストーンと共同脚本 )の映画化。
本作が『 トップ・ガン 』に対抗して作ったとするオリバー・ストーンの発言や記録は今回見つけられませんでした。
しかし、主演にトム・クルーズを起用した点を考えても、僕は「 物言い映画」と考えて間違いないと思っています。
さて、「 物言い映画 」を挙げる時、代表例と言われてきたのは、
『 真昼の決闘 』に対しての『 リオ・ブラボー 』です。
これについては別稿に改めて書きます。
『 真昼の決闘 』と『 リオ・ブラボー 』 物言い映画について その2 につづく