2025年に観た映画(14) 「ファーストキス 1ST KISS」

公開して時間が経つほどに当初の観賞意欲も徐々に失われてしまいがちですが、こちらの作品は脚本が「怪物」の坂元裕二氏、監督が「ラストマイル」の塚原あゆ子さんだと改めて認識し、やっぱり観逃がす手はないなと劇場に向かいました。
いきなり本作の重要なシーンから始まる巧みなプロローグ。ここを最終地点として時間の軸を前後させながら、硯駈(松村北斗)とカンナ(松たか子)夫妻の今に至る人生を解きほぐす。たまたま(安直に)手に入れた力を武器に、カンナが挑み続ける“人生”というシナリオの修正。
「こんな筈じゃなかった」という、誰しもが覚えのある恋の行末と後悔。
「恋愛は相手の良い所を探す、結婚は相手の欠点を探す」
カンナのけだし名言は、どこの偉人の言葉だろうと思ってしまいました。
あの手この手の再チャレンジを、松村君演じる駈相手に松さんが軽妙に演じていてちゃんとクスクスしちゃいます。タラレバを繰り返す上での様々な布石やちょっとした小道具の配置もさすが坂元さんといったところ。
そして驚くべきは、15年という年月を補正する若返りの映像技術。フジのトレンディ・ドラマ時代と見紛うお姿で登場する松さんにドギマギしてしまった。こーいうのって、今後どこまでが許容範囲なのか、ちょっと考えさせられもします。
タイムリープ物は“整合性”と“納得感”の創出がとても大事なのですが、細田版「時かけ」並みにタイムリープを乱用する本作はその発動条件や制約事項の説明不足で少々ワチャワチャしてしまう。脚本と演出、そして編集に一体感があったかというと、ちょっと微妙。観終わってよくよく考えてみると、重大な問題も見えてくる。
そんな七難全てを覆い隠す、あらゆる手を尽くした先に用意されたその結末。未来の妻への時を超えた恋心が生んだ切ない人生のお伽噺に、溢れる涙を抑えきれませんでした。1本取られた感じです。
この映画を観た既婚男性全員が、最低でも1週間は妻に優しくしようと心に決めたに違いないww。
観に行っておいて良かったと思える作品でした。
№14
日付:2025/3/20
タイトル:ファーストキス 1ST KISS
監督:塚原あゆ子
劇場名:シネプレックス平塚 screen3
パンフレット:あり(¥990)
評価:6





<CONTENTS>
・イントロダクション
・ストーリー
・インタビュー 松たか子
・インタビュー 松村北斗
・キャスト・プロフィール
・コラム 凪良ゆう(小説家)
・インタビュー 坂元裕二
・コラム ジェイ・ルービン(翻訳家・作家)
・コラム 岡室美奈子(早稲田大学文学学術院教授)
・インタビュー 塚原あゆ子
・インタビュー 四宮秀俊(撮影)
・スタッフ・プロフィール
・コラム 町山智浩(映画評論家)
・プロダクション・ノート
・クレジット
・硯カケル人生マップ
・手紙
