最悪な男の最悪な4日間!藤井道人監督最新作『最後まで行く』
2014年に公開され、本国では5週連続No.1、観客動員数345万人の大ヒットを記録した韓国映画「最後まで行く」。中国・フランス・フィリピンでもリメイク版が製作された作品がついに日本でもリメイクされ、5/19に公開!そこで今回、ひと足早く完成披露試写会にて本作を鑑賞した筆者がネタバレなしでその見どころをお届けします!
映画『最後まで行く』あらすじ
年の瀬の夜。刑事・工藤(岡田准一)は危篤の母のもとに向かうため雨の中で車を飛ばしていた。そこに署長から連絡が入り、所内での裏金作りへの関与を疑われた直後、妻からの電話で母の死を知らされた彼は動揺し、車の前に飛び出してきた男を轢いてしまう。必死に遺体を車のトランクに入れ葬儀場に辿り着いた彼は、車ではねた男の遺体を母の棺桶に入れ母と共に斎場で焼こうと試みる。そこへ「お前は人を殺した。知っているぞ」とメッセージが届く。送信主は県警本部の監察官・矢崎(綾野剛)。追われる工藤と追う矢崎。果たして前代未聞の96時間の逃走劇の結末は…?
▪旬の監督・俳優陣が集結!
本作でメガホンを取るのは『新聞記者』で2019年に日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、『余命10年』では興行収入30億円を突破、この4月には横浜流星主演の『ヴィレッジ』が公開されたばかりと現在の日本映画界をリードする藤井道人。
そして、主役の刑事・工藤役には、どんなジャンルの役柄もこなし多くの大ヒット作品を持つ岡田准一、工藤と対決するエリート監察官・矢崎役には、映画『ヤクザと家族 The Family』、ドラマ『アバランチ』など、これまでにも藤井監督とタッグを組みその抜群の演技力で観る者を魅了してきた綾野剛。さらに脇を固めるのは柄本明・広末涼子・磯村勇人と、今とびきり旬の監督と俳優陣が集結!このメンバーで大ヒットを記録した韓国映画のリメイク…それだけでどんな作品になるのかワクワクしてしまいます。
▪オリジナルとリメイクそれぞれの持ち味
日本でのリメイクが決まり、オリジナル版の韓国映画に興味を持たれた方も多いのではないでしょうか?オリジナル版では、刑事役に『パラサイト 半地下の家族』のイ・ソンギュン、刑事を追い詰める悪徳警官役に『警官の血』のチョ・ジヌンが扮し、ひとつの事故を発端に極限まで追い詰められていく刑事の姿をクライムサスペンスとして描いています。個人的には追い詰める刑事を演じたチョ・ジヌンの怪演が印象的!内容としても、最後の最後まで一気に畳み掛ける展開が文句なく面白い作品です。
一方、日本版のリメイクでは、映画の導入部分や本筋はある程度オリジナルを踏襲しつつ、どこか笑える“ブラックコメディ要素”がふんだんに盛り込まれ、オリジナルとはテイストも結末も異なる新たな作品として生まれ変わっています。追い詰められる刑事のキャラクターがよりコミカルに、追い詰める男のヤバさが神経質で蛇のような執拗さを増し、リメイクとはまた違った雰囲気を醸し出しています。
それぞれテイストの異なる作品ではあるものの、共通しているのはとにかく最後の最後まで息つく暇なく振り回されるジェットコースタームービーであるということ。オリジナルから観るのも良し、リメイクから観るのも良し。いずれにせよ新鮮な気持ちで楽しめるはずです。
▪極限状態に陥った人間の滑稽さ
とことんまで追い詰められ、極限状態に陥った人間は何を考えどう動くのか。
以前藤井監督はこの作品を「コメディ」だと言い切っており、その言葉に筆者は正直半信半疑でした。ただ、実際に作品を鑑賞してみると思いのほか笑えるシーンがたくさんあることにびっくり!その面白さとは、まさに極限状態に置かれた人間の愚かさや滑稽さに他なりません。
『追い詰められる男 vs 追い詰める男』の極限状態で見えてくる本性と、それを全力で表現する主演の2人のお芝居。これらも本作の大きな見どころと言えるのではないでしょうか。
▪日本映画では他に類を見ないエンタメ作品
作品のプロモーションや舞台挨拶で主演の岡田准一さんが何度も口にしていたのは、「これまでにあまりなかったような作品」というフレーズ。筆者も実際に作品を鑑賞し、この内容、このジャンルでここまでエンタメに振り切った作品は日本映画では他に類を見ないのではないかと感じました。
登場人物の関係性や話の広がり方はオリジナルより日本版の方がより複雑。さらに、こちらの想像をはるかに超えてその先の先までとにかくノンストップ、まさに『最後まで行く』!この熱量と密度の濃さは、これまでの日本映画の枠からはみ出た作風と言えるのではないかと思います。
▪エンタメとしての映画で人を楽しませたいという想い
今回、完成披露試写ということで上映前に舞台挨拶がありましたが、そこでのキャスト・監督のお話や作品を観て感じたのは、この作品に関わったすべての人がとにかく映画が好きなんだということ。「映画で人を楽しませたい」というその想いが観ているこちらにもひしひしと伝わってきました。
オリジナル作品がある程度の地位を確立している中で、このようなテイストでリメイクを作るというのはかなりチャレンジングなこと。ただ、当の藤井監督はインタビューで「自分でもびっくりするくらい面白い作品ができました」と語るなど、まるでその全てを楽しんでいるかのよう。そういったスタンスが作品にも反映しているように感じるのは筆者だけではないはずです。是非劇場に足を運び、スクリーンから伝わる映画愛を感じて欲しいです。
人をはねてしまった刑事とそれを追う監察官。マズい男vsヤバい男。とにかく最後の最後まで気を抜けず、ジェットコースターのように振り回される96時間ノンストップエンターテイメント!きっとこれまでにない映画体験ができるはず。是非映画館で作品を楽しんでいただきたいと思います。
『最後まで行く』は5月19日(金)より全国ロードショーです。
これからも様々な新作映画やオススメ映画の見どころをお届けしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!
【過去のコラム】
・大迫力!韓国ディザスター映画オススメ4選<前編> / <後編>
・親と子の<心の距離>を描く衝撃作!ヒュー・ジャックマン主演『The Son/息子』
・まずはここから!初心者でも楽しめるオススメ韓国映画<アクション編>
・まずはここから!初心者でも楽しめるオススメ韓国映画<ラブストーリー・ドラマ編>
最後までお読みいただきありがとうございました。
SNSでも映画のレビューを書いています。良かったら遊びにきてください♩
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投稿を表示めちゃくちゃ楽しみにしてる作品なので、このコラム何回も読んじゃいました☺️笑
韓国版の方もけっこうコメディが入っていて笑いそうになりましたが、日本版はもっとなんですね!予告からもサスペンスに見せておいて、コメディっぽいのはなんとなく伝わってきます😆登場人物も多そうですし、結末が韓国と違うんですね~!
舞台挨拶の様子も伝えてくれて嬉しいです!どんな作品が出来上がったのか公開日が楽しみです♡
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