人生を変える“寄り道” 4/7公開『パリタクシー』

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こんにちは！コラムニストのtakaeです🍿

突然ですが、皆さんはタクシーに乗って運転手さんとお話しすることはありますか？

今回ご紹介する作品は、そんなタクシー運転手と乗客がパリを舞台に織りなす心温まる感動のロードムービー、4月7日（金）公開の『パリタクシー』。

公開前に先行試写にて作品を鑑賞した筆者がひと足早くその見どころをご紹介します。

パリでタクシー運転手をしているシャルル（ダニー・ブーン）、金なし休暇なし免停寸前という人生崖っぷちの状態。ある日彼に、92歳のマドレーヌ（リーヌ・ルノー）をパリの反対側まで送り届けるという仕事が舞い込んでくる。彼女の頼みでパリの街のあちこちに立ち寄るうちに、マドレーヌの知られざる過去が明らかになっていく。そしてそのドライブは、いつしか2人の人生を大きく動かしていく···。

不愛想な上に怒りっぽい、でも家族への愛に溢れているタクシー運転手シャルルを演じるのは、フランスを代表する大人気コメディアンのダニー・ブーン。

そしてその笑顔と深い言葉で人を魅了するマドレーヌには、最もキャリアの長いシャンソン歌手であり、エイズアクティビストと尊厳死法制化への活動の長年にわたる功績を称えられ、2022年に仏最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章を受賞したことでも知られる歌手で女優のリーヌ・ルノー。

本作は、この国民的歌手と大人気コメディアンの2人が共演したことでも話題となっています。

▪タクシーと人生の「共通点」

冒頭でも少し触れましたが、タクシーってすごく不思議なものですよね。タクシーを止め、運転手に目的地を告げる。目的地に着いたら料金を支払いそこでお別れ。いわゆる一期一会の関係なのに（関係だからこそ？）何となく心を許して色々なことを話してしまうことも。

タクシーと人生の「共通点」と書いたのは、“今いる場所から目的地へ”というのが何となく流れゆく人生を思わせるような気がしたからです。そして、必ず「終着点」があるというのもそう感じる一因なのかもしれません。本作は、タクシーでパリを横断しながら乗客であるマドレーヌの人生の物語を辿るロードムービーとしても楽しめる作品になっています。

▪パリの街並みと音楽に彩られた素敵な「寄り道」

『ねぇ、ちょっと寄り道してくれない？』

乗客としてタクシーに乗り込んだ92歳のマドレーヌ。実はその目的地は余生を過ごすための老人ホームでした。タクシーで人生の終着地点に向かう中で、運転手のシャルルと共に思い出の地を巡り、これまでの人生を振り返るマドレーヌ。この寄り道が本当に素敵！パリの美しい街並みと劇中で流れる曲の数々。その歌詞はまるで彼女の人生の語り部のように胸に響きます。

この寄り道がいつまでも続けばいいのに···！そんな風にも思えてくるのです。

▪マドレーヌの過去と現在

車を止めるたびに語られるマドレーヌの過去。それは決して楽しいものばかりではありませんでした。その過去は今の彼女からは想像できないほど過酷なものばかり。本作では、マドレーヌの過去を通して、その時代における女性の立場とそれに決して屈することなく先頭に立って戦い続けてきた彼女の歴史が描かれています。

彼女たちが声をあげ、勝ち取ってきた過去があるからこそ今がある。そんな彼女の人生の道のりは、時代に翻弄されながらも強く生きてきた女性の美しさを教えてくれるのです。

▪運転手と乗客から「かけがえのない存在」へ

寄り道をしながらマドレーヌの生き様に触れ、徐々に心を開き、しかめっ面だった表情が笑顔に変わる運転手のシャルル。ただの運転手と乗客という関係が、お互いにとってかけがえのない存在に変わっていく過程は優しくあたたかく、見ているこちらの心も解れていくよう。ただ、そこには切なさも伴います。なぜなら、この旅には「目的地」という終わりがあるからです。

旅の終着点で2人を待ち受ける思いもよらないラスト。2人のドライブがどんな結末を迎えるのか…是非そこは事前にあまり情報を入れずに観ていただきたいと思います。