2025年に観た映画(9) 「室町無頼」

原作未読。「第6回本屋が選ぶ時代小説大賞受賞」「週刊朝日『2016年 歴史・時代小説ベスト10』第1位」、第156回直木賞候補等々、、、一つも知らなかった。疎くてスミマセン。
そんな後の直木賞作家が世に送り出したベストセラーを映像化した本作。予告編で見た大泉洋さんが格好良くて、観賞意欲をそそられました(と言いながら公開1ヶ月以上も経ってから観に行っている)。
「応仁の乱前夜」と謳っていますが、描かれる世界観は所謂一つの“マカロニウエスタン”調。これと大泉洋という役者が実にマッチしている。飢饉に祟られた京の街で民は苦しみ悪党どもがのさばる中、颯爽と現れる大泉演じる蓮田兵衛の立ち振る舞いに惚れ惚れしてしまう。あの用心棒映画と比べてみたくもなるようなと言ったら褒め過ぎでしょうか。最初にひと暴れするシーンに先ずは唸らされました。
加えて長尾謙杜君の才蔵も、かつての盟友骨皮道賢(堤真一)もちゃんとオーラが滲み出ている。Xデーに向けた各々の動き出しも悪くないし、今風なアクションも見応え十分。
なのになのに、最後が尻すぼみ気味なのがすごーく勿体ない。わちゃわちゃーっとした群集劇の落とし前も、長年のライバルが雌雄を決する対決シーンも、バシッと決まらないというか見所に欠けるというか、今一つ盛り上がりに欠ける。
クライマックスってやっぱり大事。なのに後々この映画を後々振り返った時に思い出すのはきっとそこじゃない。もっとイカした演出で締め括っては欲しかった。
こういう娯楽大作がちゃんと面白いかどうかって、邦画が今後も隆盛を継続する上でとても大事だと思います。ちょっと残念な部分もありはしますが、私はそれなりに楽しめた。大泉洋氏のアウトローなヒーローとしての存在感と、その無頼漢ぶりをちゃんと引き出した監督の手腕と言ってもよいのか。はたまたこの役者の生まれ持った人間味の成せる業なのか。これが時代劇初経験だそうですが、これで終わらせるのは実に勿体ないと思いました。確かに「大泉史上最高に格好良い」です。役者としての評価を上げる一作にもなったのでは。
№9
日付:2025/2/24
タイトル:室町無頼
監督・脚本:入江悠
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN3
パンフレット:あり(¥880)
評価:5.5




